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事故物件を「安いから借りる人」の偽らざる事情 人が亡くなってしまった部屋を貸す側の苦労

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  • 村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター
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また、

「事故物件に住みたくない」

という人に対して、異を唱える人もいる。

「1970年代くらいまでは、住居内での死を“穢”として扱わなかった。最近のことだ。日本の伝統文化などとは言えないのではないか?」

と、大島さんは記者から問われたことがあるという。

「私も、それはそうだと思います。たとえば戦国時代や終戦直後だったら

『人が死んだ物件だから住みたくない』

などと言ってはいられなかったと思います。ただ、その状況がよかったとは思いません。そして、幸い現代はそのような時代ではありません。また『孤独死はありふれている。気にするのはおかしい』と言われることもあります。たとえ、ありふれていたとして『だから気にするな』というのは間違っていると思います」

住居にも令和だからこそのクオリティーを

高度成長期になり、不平はありつつも国民全員に家が行き渡った。

それから50年近く経って、人口減少時代に突入し、家が余ってきている。実に3割の家が空き家になると言われている。

「もともと不動産業界は、お客様を神様だとは思っていない業界でした。お金を出す側が、頭を下げて貸してもらっていたのです。それが最近になり家が余ってきたため、段々お客さんが有利に契約を結べるようになってきました。やっと他の業界と同じになってきたんです。それが不動産業界の現状です」

ようやく借りる側が有利に契約を結べるようになってきた今、事故物件に不動産業界や大家にとってのメリットは見出せない(筆者撮影)

食の事情とよく似ている。

戦後など飢えた時代の、

「とにかくカロリーさえとれればいい時代」

から、高度成長期を経て

「美食や健康食など自由に食べ物を選ぶ時代」

になった。

現在レストランなどでグルメを堪能している人をけなすことがないように、

「なんでこんなに家が余っている時代に、事故が起きた部屋に住まなければならないのか?」

と思う人をけなす必要はないと、大島さんは考える。

「家もとにかく住めればいい、ではなく令和だからこそのクオリティーを求めていっていいと思います。贅沢を言っていいんです」

事故物件の流行りは、不動産業界や大家にとってメリットは見出せなさそうだ。

逆に、家を借りる側、買う側にとっては、事故物件であることで有利な契約を結ぶこともできるし、事故物件に住むことを避ける手立ても過去に比べて多くなったようだ。

なにはともあれ住居を決めたり、買ったりするのは、慎重にしたほうがよい。事故物件であるかどうかを確認するために、おのおのできる限りの対策を取ったほうがよいだろう。

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