孤独死した40代女性の遺物に見た生前の苦しみ 故人の孤立を自己責任と突き放していいのか

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私は長年取材を重ねてきたが、孤独死は社会のいびつさを映す鏡だと感じている。

働き方や社会情勢によって孤立を余儀なくされたケースもあり、もはや孤独死を本人の「自己責任」と突き放すことはできないはずだ。

孤独や孤立への関心は、すでに海外でも国家的な潮流となっている。イギリスでは孤独担当大臣を設置し、国家予算を投入。アジア圏だと、中国は一人っ子政策の影響もあり孤独死への関心がとても高く、孤独死に関する多くのドキュメンタリー番組が製作されている。お隣の韓国も、孤独死防止の取り組みを行っている常盤平団地(千葉県松戸市)に視察に訪れるなど関心が高い。

『世界一孤独な日本のオジサン』(角川新書)の著書で知られるコミュニケーション・ストラテジストの岡本純子さんは、都市化、過疎化や核家族化、非婚化などが進み、人々のつながりや絆が断ち切られていると指摘する。

海外では「孤独」は現代の伝染病

「海外では『“孤独”は現代の伝染病』として、国家、社会をあげての対策が進んでいます。しかし、日本では、『孤独は美徳』といった価値観が非常に強く、社会としてまったく対策がとられていません。孤独死は独りで死ぬことが問題なのではなく、『孤独が緩慢な死』を招くのです。長年の孤独・孤立は健康や幸福感をむしばみます。国として、もっと腰を据えて取り組む問題だといえます」

と警鐘を鳴らす。

現役世代にも広がる孤独死を、われわれの社会はこのまま放置していいのか。国はその全体像を把握するために、まずは発生件数を割り出し、一つひとつの孤独死の事例を検証してほしい。そこから導き出される知見から具体的な対策を国家ぐるみで立てることが望ましい。「孤独死」という社会問題は、もはや無視できないところまできている。

菅野 久美子 ノンフィクション作家

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かんの・くみこ / Kumiko Kanno

1982年、宮崎県生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒。出版社で編集者を経て、2005年よりフリーライターに。単著に『大島てるが案内人 事故物件めぐりをしてきました』(彩図社)、『孤独死大国』(双葉社)、『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』(毎日新聞出版)『家族遺棄社会 孤立、無縁、放置の果てに。』(KADOKAWA)『母を捨てる』(プレジデント社)など。

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