孤独死した40代女性の遺物に見た生前の苦しみ 故人の孤立を自己責任と突き放していいのか
2020年2月7日付の朝日新聞デジタルは、大阪府内で昨年1年間に誰にも看取(みと)られないまま屋内で死亡し、1カ月以上たって見つかった遺体が382体にのぼることが大阪府警の調査でわかったと報じている。同記事によれば、「死後2日以上」で区分すると2996人。65歳以上の高齢者が71%と大部分を占めたが、一方で40~50代の「働き盛り層」が18.4%を占めることも判明したという。
前述の女性のように、身の回りのことを行う気力すらなくなり、「セルフネグレクト」(自己放任)に陥り、ゴミ屋敷化したり、不摂生や医療の拒否などの状態に陥ったり、自らを殺すような乱れた生活の末に、誰にも助けを求められずに若くして孤独死したりしてしまう現役世代が後を絶たない。
日本少額短期保険協会が、昨年5月に発表した『第4回 孤独死現状レポート』によれば、高齢者に満たない年齢での孤独死の割合は5割を超え、 60歳未満の現役世代は男女ともに、およそ4割を占める。
世渡りが下手でまじめな人が多い
私は、元ひきこもりの当事者だが、孤独死する人は世渡りが下手で、まじめな人が多く、社会をうまく生きられなかった痕跡を端々に感じる。現場からは、「生きづらさ」を感じ、つまずいた人の生前の苦しみが痛いほどに伝わってくる。
2020年2月6日付のNHK「NEWS WEB」は衝撃的なニュースを報道した。
兄弟の困窮死という事例だ。
報道によると、昨年12月24日のクリスマスイブに東京江東区の集合住宅で72歳と66歳の兄弟がやせ細った状態で死亡していた。電気やガスが止められ食べ物もほとんどなく、困窮した末に死亡したとみられているとしている。警察によると、死後4日から10日ほど経過。兄弟はいずれもやせ細っていて低栄養と低体温の状態で死亡したとみられているという。
体重は兄が30キロ台、弟は20キロ台しかなかった。近所づきあいはほとんどなく、江東区の福祉担当の部署もNHKから取材を受けるまで今回のケースそのものを把握していなかったという。
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