出前館トップが語る「フードデリバリー」の未来 目標は5万店、4~5年後に1000万人を獲得する

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ーー手数料を引き下げるには、配送コストの抑制が重要となってきますが、どのような施策を打っているのでしょうか。

配送量の平準化と配送の効率化だ。注文は昼食と夕食の時間帯に集中しがちだが、食事の時間帯以外での配送が見込める商品を扱うことで、配送量を平準化する。スイーツや日用品を扱うことも考えており、EC(ネット通販)荷物の配送受託も検討している。

出前館の配送拠点はおよそ半径3キロ以内を管轄している(写真:出前館)

各配送拠点はおよそ半径3km以内を管轄しているが、エリアごとのユーザー数と注文数を増やして、さらに範囲を狭めていきたい。

そのためにも地域住民から支持されている人気の飲食店にも利用してもらい、品ぞろえを充実させなければいけない。デリバリーサービス開始時は手当たり次第に加盟店を増やしていたが、注文の少ない飲食店ばかり獲得しても非効率的だ。今はユーザーの(購買)データに基づいて、エリアごとに営業を重点的にかける飲食店を選んでいる。

配送品質で差別化していく

ーー物流業界では人手不足が深刻化しています。配送の担い手を確保できるのでしょうか。

扱うものが基本的に軽くて綺麗なものなので、少し年配の方や女性でも活躍できる。配送拠点の近隣に住む人々をしっかりと採用できており、大手宅配事業者のドライバーから転職する人もいる。「ASA(朝日新聞販売所)」だけでなく、地場の中小運送会社にも任せている。

【2020年2月10日12時45分追記】配送委託に関する初出時の記述を一部修正いたします。

配送品質のよさは競合サービスとの差別化要素であり、配送時間を5~10分以内に収めるなど、しっかりと教育・研修を実施している。初期コストはかかるが、配送品質が悪かったことでユーザーが離れてしまってはいけない。遠回りに見えて一番の近道だと思う。

ーーユーザーの購買データの活用についてはどのような展望を持っていますか。

すでに利用回数に応じたクーポンの提供や、ユーザーデータに基づくレコメンドなどは実装している。これからはAIの開発・活用もしなければならないので、そうした人材の採用も進めている。食事は嗜好性が高く、そのときの気分など注文を決定した動機は個人によって異なる。しっかりとパーソナライズしていくことで顧客満足度の向上につながるだろう。また、飲食店には、これまでメニュー開発の支援など行ってきたが、データに基づいた改善提案も一層強化できるはずだ。

佃 陸生 東洋経済 記者

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つくだ りくお / Rikuo Tsukuda

不動産業界担当。オフィスビル、マンションなどの住宅、商業施設、物流施設などを取材。REIT、再開発、CRE、データセンターにも関心。慶応義塾大学大学院法学研究科(政治学専攻)修了。2019年東洋経済新報社入社。過去に物流業界などを担当。

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