同様に厳しいのがホテル・旅行業界だ。出入国と国内旅行に急ブレーキがかかった。多くの観光地や旅行会社は一時的に営業を取りやめ、ホテルの稼働率も大幅に下がった。感染拡大の影響は旅行業界の上流から下流まですべてに波及し、業界は大規模な再編・淘汰のリスクにさらされている。
「中でも伝統的な旅行会社や旅行代理店などの”斜陽産業”は致命的な打撃を受けることになる」と分析する専門家もいる。
さまざまな業界の中小企業が資金繰りの面で困難に直面している状況を緩和するため、各地の政府は多くの政策を打ち出している。
たとえば、零細企業への返済期限前回収や融資凍結、融資の遅滞などをやめるなど、金融面での援助だ。あるいは、企業のコストを削減するため、納税を3カ月から6カ月猶予したり、不動産税を減免したりしている。
しかし、上述の措置を通してある程度のプレッシャーを緩和することはできても、操業停止や休業によってもたらされる莫大な固定費の問題を解決するのは難しい。
一方、武漢市のある湖北省以外の地域での感染拡大の原因が、外部からもたらされるものから現地での集団感染に変わりつつある。そこで、一部の地域では企業の操業再開に関してかなり慎重になっている。サービス業と比べて製造業が受ける影響は小さいものの、長期的な問題に直面していることに変わりはない。青島のある企業の責任者は、「2月10日に操業を再開できて、3月末には感染も基本的に終結しているというのが目下最大の希望だ」と話す。多くの企業の関心が、いつ操業再開できるかに集まっている。
感染者数の開示はまだまだ不完全
注目すべき動きがもう1つある。国家衛生健康委員会は2月4日、武漢の致死率が高い問題について専門的な解説を行った。目下、武漢での死亡者は313人で、中国全土の死亡者の74%を占め、致死率は4.9%だ。湖北省と、その省都である武漢市の致死率はいずれも全国平均より高い。湖北省を除くと、その他の省の致死率は0.16%だ。
同委員会の分析によれば、武漢の致死率が高い主な原因は、肺炎が発生した初期の段階で、武漢の3カ所の指定病院に重症患者のベッドが合計110床しかなく、大幅に不足していたことだ。
医療資源が乏しく、分散していたため、重症患者の致死率が明らかに他の省より高くなったというのだ。
現在、重症患者を集中治療する指定病院の増加や、医療スタッフや物資の面での他地域からの援助もあり、武漢の致死率は次第に下がる見込みがある。
このように、感染拡大の転換点が訪れる兆候を正確につかむためには、各地域の情報公開の透明性が非常に重要だ。
しかし、現在に至るまで、各地の疑いのある症例や重症患者、医療従事者の感染例の開示は不完全であり、情報の共有を滞らせる障害を速やかに取り除かなければならない。
(財新記者:黄蕙昭)
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