ヤマダと大塚家具、「相乗り店舗」開始の内幕 東京と大阪の店舗で家具と家電をセット提案

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国内の家具市場では、ニトリホールディングス(2018年度売上高6081億円)が島忠(2019年度1463億円)やイケア・ジャパン(2019年度844億円)を引き離してダントツの首位に君臨する。「ニトリ1強」とも言える家具業界に、ヤマダが狙いを付けたのが、ニトリの家具では満足できない富裕層だ。

家電量販店では30万円以上の高機能洗濯機が勢いよく売れ、高価格帯の冷蔵庫やエアコンも好調だ。60~70インチの有機ELテレビを購入する顧客は、ニトリでは買えない高級ソファーに座ってテレビを観たいのではないか。そんな富裕層向けに高級感のある家電と家具を提案できれば、ニトリと競合することもない――。これがヤマダのたどりついた生き残り策だった。

うまくいかなかった高級路線

ヤマダは2017年から、家具と家電をセットで販売する「家電住まいる館」の展開を始め、現在その店舗数は100を超える。だが富裕層を狙ったはずなのに、「いつもニトリと比較されてしまった」(山田昇会長)。

安売り戦略で知られるヤマダがニトリのような低価格の家具販売を始めたと見られてしまっては、ヤマダの思惑は根底から崩れる。そこで今回、大塚家具ブランドを活用することにより、イメージの払拭を狙う。

大塚家具では、2015年に父・大塚勝久氏との経営権をめぐる委任状争奪戦で勝利した久美子社長が、低・中価格帯の商品を増やしながら従来の高所得者層以外にも客層を拡げる改革を進めてきた。だが、その様子をヤマダの首脳陣は首を傾げて見ていた。「なぜ、わざわざニトリと競合するゾーンに降りていくのか」。

資金繰りに窮していた大塚家具からの出資の打診をきっかけに、2019年2月にヤマダは大塚家具と業務提携。家電住まいる館などで、ヤマダの商品と大塚家具の商品をセットで提案する試みを始めた。大塚家具は資本提携を求めたが、最終的にヤマダが出資を決めたのは2019年11月に入ってから。このタイムラグには2つの理由がある。

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