ヤマダと大塚家具、「相乗り店舗」開始の内幕 東京と大阪の店舗で家具と家電をセット提案

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43億円で大塚家具ブランドを“活きた状態”で買い、同時に高級家具を取りそろえる時間も買い、新しいヤマダ電機を始動させる――。この筋書きの下、ヤマダはこれから旗艦店である池袋店を筆頭に、都心や大阪でコラボレーション店舗の展開を実行に移す。高崎本店や前橋店で検証を重ねたスタイルが、都会の客層のニーズに適うかどうか、いよいよ試される時がきたわけだ。

しかし、大塚家具の商品と販売ノウハウを取り込んだからと言って、高級化路線が思惑通りに進むとは限らない。

徹底した安値戦略で拡大してきたヤマダは、家電量販店の中でも特に安売りのイメージが強い。ある大手家電量販店の中堅幹部は、「定価から何%安いかを競ってきた家電量販店が、ブランド力を追い求めている時点で違和感がある」と疑問を呈する。大塚家具の複数の元社員も、「ブランドイメージからすれば、ヨドバシカメラやビックカメラの方が大塚家具との親和性があると感じた」と口をそろえる。

大塚家具も知名度があるとはいえ、久美子社長の改革の下での低・中価格帯商品の拡充や、一連のお家騒動の影響もあり、かつての高級なイメージは薄れつつある。

在庫管理の面で不安も

大塚家具にとっては、在庫管理の面でも不安がくすぶる。低・高価格帯まで多数の商品を扱う大塚家具は、国内外の家具メーカーと強固な取引関係を築いてきた。この仕入れルートを生かした品ぞろえの幅広さこそ、大塚家具の強みでもある。今回ヤマダの店舗に展示する商品は、中価格帯のソファーやダイニングセットなどが中心となる見通しだ。

ただ、展示店舗の拡大に併せて家具の仕入れを増やせば、比例して在庫を抱えるリスクも高まる。売り上げが低迷する中で滞留在庫の消化に苦しんできた大塚家具は、2018年に最大8割引の在庫一掃セールを実施して粗利益率が大きく悪化した。今回もヤマダとのコラボレーション店の売れ行きが想定を下回れば、そのシワ寄せは大塚家具にくる。

2019年12月に行われた大塚家具の買収に関する記者会見の壇上、山田会長は「いいテレビにはいいソファーがないとだめ。私どもの商材と家具は親和性が高く、そういう(セット販売ができる)空間をヤマダは提供する」と強調した。家電業界のガリバーの試みは、吉と出るか凶と出るか。業界盟主の座を占う挑戦が始まった。

野中 大樹 東洋経済 記者

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のなか だいき / Daiki Nonaka

熊本県生まれ。週刊誌記者を経て2018年に東洋経済新報社入社。週刊東洋経済編集部。

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真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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