不登校の子が「親に絶対してほしくないこと」 ゲームを禁止している場合ではない

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一方で、何か興味を持っていることがあれば、それを深めることが自然と学習につながっていくんじゃないかと思います。

親御さんは、子どもが興味を持っていることがあれば、それを大事にしてあげたらいいんじゃないでしょうか。

あおい:私は歴史関係のゲームが好きで、ゲームを楽しむために歴史をもっと深く知りたいと思って、ネットを使って勉強をしたことがあるんです。

今現在の私は、何一つ勉強に手をつけてないんですが、以前の経験があるから、また何かハマるものがあったときに、自然と自分で学習をすると思うんですね。

だから「私は大丈夫」って思っています。お子さんも、何か興味のあるものがあれば、大丈夫なんじゃないかなと思います。

つらさの中身

質問者C:孫が不登校です。本人はどういう気持ちで、周りはどういうふうに接してあげればいいのでしょうか。みなさんはつらかったですか。そしてそうした気持ちをどうやって克服したのですか?

あおい:つらかったです。私の場合は、学校へ行きたくても行けなかったので、「なんでなんだろう、なんで私だけなんだろう」と。

休み始めたとき、クラスメートに「仮病だろ?」と言われたことがあって、それが長い間心に突き刺さっていました。「私はなまけ者なんだ、休んでいてずるいんだ」と、ずっと自分を責めていたんです。

そして、それを克服できたかというと、今でもあまり克服できてないと思いますが、つらさのピークは過ぎたと思います。時間が解決してくれたのもあるかな。

あとは親とのコミュニケーションですね。私が愚痴をただ吐き出しているだけなのに、ずっと聞いてくれたり「そんなことないよ、あなたは頑張っているよ」と言ってくれたことが支えになりました。

質問者C:高校1年生の息子が不登校です。みなさんは、学校へ行けなくなって、やる気がなくなった状態から、今はある程度元気になられているんだと思います。

そこでお聞きしたいのですが、親から見て、「この子はだんだん元気が出てきたな」と、わかるようなサインはあるのでしょうか。

あおい:元気になると、家にいるのがつまんなくなるんです。インターネットやゲームをしてても、おもしろくなくなっちゃうんですね。だから、自然と外に出ます。

親にも「暇だ」「つまんない」って言い始めます。だからそういう言葉が出てくれば、それがサインかもしれません。

永野颯季(さつき):檀上外から失礼します。子ども若者編集部の永野と申します。中学3年間不登校・保健室登校をして、今は通信制高校の1年生です。

私は、不登校になった当初は親とまったくコミュニケーションを取ろうとしなかったです。何を話しても全部否定的な答えで返ってくるので、すごく落ち込みましたし、それ以来、何も話したくないと思っていたんです。

しかしあるとき、親が私のことを肯定してくれたことがあったんです。たぶん不登校関係の本を読んで勉強したんだと思います。

それから、少しずつですが、私のなかに親と話をしたい、という意志が出てきました。自分に起きたことや気持ちを知ってもらいたくなったんです。

だから親とコミュニケーションを取りたいという意志がちょっとずつ見え始めたら、それがサインなんじゃないでしょうか。そのサインを逃さず、しっかり話を聞いてあげてほしいです。

ショウタ:そろそろ会も終了となります。本日はありがとうございました。

(編集・茂手木涼岳、撮影・瀧本裕喜、協力・本多寿行)

不登校新聞

日本で唯一の不登校専門紙です。不登校新聞の特徴は、不登校・ひきこもり本人の声が充実していることです。これまで1000人以上の、不登校・ひきこもりの当事者・経験者が登場しました。

また、不登校、いじめ、ひきこもりに関するニュース、学校外の居場所情報、相談先となる親の会情報、識者・文化人のインタビューなども掲載されています。紙面はすべて「親はどう支えればいいの?」という疑問点から出発していると言えます。

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