何もかも足りない「武漢」肺炎との凄惨な闘い

多くの人は検査を受けられず自宅で自主隔離

官僚制度の階層が住民と支援の間に立ちはだかる。そして、検査と治療を受けるために病院の外にできた長い列は、公式の症例数をはるかに超えて、大流行が広がっていることを示唆する。

救急車を呼ぶことすら難しいと、市民は話している。アメリカの911番に相当する中国の緊急通報用電話120番に電話をかけたが、すでに数百人待ちであることのみが告げられると語った市民もいる。

公式の数字よりウイルスは広がっている

病院にたどり着くことができた人たちは、容易に感染が広がるような待合室に、何時間も一緒に押し込められたと話した。しかし、物資の不足によって、多くの人々が最終的に診察を断られ、自主隔離のために自宅に送り返される羽目になった。このことで、家族との接触によって、ウイルスの大流行をさらに悪化させる可能性がある。

多くの医師と市民は、中国が数日の突貫工事で武漢に建設しようとしている、新型コロナウイルス用の2つの病院に期待を寄せている。そのうちの1つは、約8エーカーの面積に1000床を収容し、2月3日に開業する予定となっている。中国政府は、1400人の軍の医療従事者がそこで働くために配置され、大流行と闘う現地の医療専門家不足の問題解消に寄与する可能性があると述べた。

市当局は2日、肺炎の症状とコロナウイルス患者との密接な接触がある人々向けに、武漢周辺に隔離施設を設ける計画を発表した。しかし、封鎖から1週間あまりが経過し、多くの市民は、すでに公式の数字よりもウイルスがはるかに広がっていると考えている。

「私たちが目撃した状況は、公式の報告よりもはるかに悪いものだ」と、32歳のロン・ジアンは、高齢の父親が治療を受けている病院の外で語った。ロンは、父親がコロナウイルスの検査を受けるまで、6つの病院を訪れ、7日間待たなければならなかったと話した。

ロンが話をした場所のすぐそばでは、救急治療室の狭い廊下の両側に、ベッドが並んでいるのが見えた。また、1人の男性が車の外で点滴を受けていた。

「診断と治療を受けることができるのは幸運な人だ。私の近所では、診断を受けることができなかった多くの人が、自宅で亡くなってしまった」とロンはいう。

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