アラフォー男性が婚活現場から「即消える」理由 40代女性から「同世代がいない」の悲鳴

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6月にお見合いした後、1カ月ほどのうちに3回ほどデートをして、8月には本交際(ほかの人とのお見合いや交際をやめること)に進んだ。3カ月後に入籍。このテンポのよさも、加奈さんのリードによるものだった。「長く付き合ってから判断したいほうですか?」と遠回しにプロポーズを急かしたのだ。おそらく加奈さん側のカウンセラーがアドバイスしたのだろう。

結婚相談所を利用してお見合いや交際をする場合、当事者の2人に加えて、双方のカウンセラーが交際を見守るという形が理想である。相手に聞きたいことや言いたいことなどを波風立てずに伝えやすくなり、誤解や気持ちのすれ違いが生じにくいからだ。もちろん、交際終了もカウンセラーを通じて行われる。

入籍後に芽生えた自身の変化

この原稿を書いている2020年1月末現在、博明さんと加奈さんはそれぞれ一人暮らしをしている。博明さんが住んでいる分譲マンションをできるだけ高値で売り、そのお金で2人の家を買い直す予定だからだ。3月までには本格的な新婚生活を始めたいと博明さんは考えている。ただし、生活や気持ちにはすでに大きな変化を感じているらしい。

「独身時代は仕事以外では好き勝手にやっていました。今は、週末ごとに妻と鎌倉などに出かけています。決まった話し相手がいるのはいいものですね。テレビ番組で美味しそうな店が紹介されていると、妻と一緒に行くために記憶にとどめておこうとします。以前にはなかったことです」

今まで打ち込んできたスポーツに関しては回数が減ってしまったものの、縁遠くなったわけではない。加奈さんと別行動する時間もある。結婚したからといって、自由に使えるお金や時間がなくなるわけではないのだ。

むしろ、家族だからこそ行きたい場所やコースを発見したりする。博明さんの場合は鎌倉小旅行だ。同じく晩婚さんの筆者は、旅というより長距離移動が好きではなかったが、頼もしい妻とならばドライブも海外旅行も楽しめている。

何かすばらしいものに出会ったとき、自分1人だけではなく、あの人と分かち合って喜ぶ顔が見たいと思う。そんな気持ちを家族愛と言うのかもしれない。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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