数字に強い社長が安定経営できるシンプル理由 失敗する社長が見逃している3つの数字とは
なんでもできる社長ですが、ウィークポイントがあるとしたら、それは経理という人は多いでしょう。あまり得意でない数字を扱う経理の仕事はストレスがたまる原因になりがちです。そのため、つい経理が後回しになり、適当に資料を作ってしまったりします。
実際、社長自らが作ってきた経理の資料には間違いが多いので、せっかく作っても、やり直しをお願いしなければならなかったりします。ただでさえ忙しい社長の貴重な時間を、資料を何度も作り直すために使うのは、非常にもったいないことです。
私が担当したお客様に、数字が苦手で「経理のことは難しくてよくわからない」という社長が、「だいたい、こんなもんだろう」と適当に資料を作っていたことがありました。そのままご自身で税務署に行き、「後で直しますので」と話しながら手書きで申告書を出していました。社長は大まかにしか数字を見ず、「絶対に赤字だろう」と決算を組んでいました。
想定より多い税金を払うことに
その後、税務調査となったのですが「書類に不備が多いので、やり直すように」と言われてしまいました。そこで、弊社に相談に来られたのです。
まとめて4年分の書類を作り直すだけでも大変なのですが、書類の管理状況に問題があり、必要な領収書がもはや見つからない状態でした。見つからなかった領収書の一部は計上できず、結局、赤字だったはずの収支が黒字になってしまいました。そして、支払う税金の額も想定よりずっと多くなりました。
悪質な税金逃れというわけではありませんでしたから、資料が全部そろっていれば、税務署も少しは考慮してくれたかもしれません。しかし、「本来あるべき資料がない」となると、手の打ちようがありませんでした。そのため、多額の追徴課税が下されてしまったのです。
社長は細かい数字を見るのが苦手で、大きな数字しか見ない傾向があります。大局的に見るのが社長のスタンスなので、基本的にはそれで正しいと思いますが、大事な数字を見落としてしまっていては、的確な経営判断ができません。
社長にとっては「ここだけは見るべき」という数字があります。それは、「損益分岐点売上高(黒字と赤字の境目)」「キャッシュフロー(資金の動き)」「時間当たり付加価値」の3つです。
創業当初は、ビジネスを軌道にのせるため、とにかく「売り上げ」を上げなければなりません。ですから、社長はトップセールスとして営業をかけることに力を入れ、数字としては「とにかく売り上げを見ていけばいい」ということになります。
この段階では、経理は「ミスなく数字を作る」だけでも、どうにか回していけるでしょう。経理担当者を雇う余裕がないというなら、まずは売り上げを全力で伸ばし、1日でも早く経理を誰かに任せられるようにします。
そこで大事な3つの数字の1つ目が「損益分岐点売上高」です。これはその金額の売り上げだと利益が0円になる売上高を意味しています。つまり損益分岐点売上高を上回る売り上げを上げると黒字となります。
売り上げが増えていけば当然、仕事も増えていくわけですから、従業員を増やしたり、広いオフィスに移ったり、新たな設備を揃えたりということも必要になってきます。つまり、売り上げが増えれば増えるほど、出ていくお金も増えていくのです。そうなれば、売り上げという「入ってくるお金」だけではなく、「出ていくお金」の数字にも注意しなければなりません。
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