男性の親の介護問題が結婚を左右することもあります。関西在住の40代E子さんは、同じく関西在住の50歳手前の男性と交際をスタートさせました。男性は一人っ子で、80代認知症の母親と2人で暮らしていました。
男性は長らく介護のために会社を時短勤務に変えてもらっていたので、年収が同僚よりもかなり低い。E子さんは1回目のデートから「そろそろ親御さんのこれからのことを考えたほうがいいのではないでしょうか」と伝えたそうです。
E子さんは別の男性とも交際を同時進行させていました(結婚相談所ではそうしたケースは男女とも多々あります)。そちらは東京在住の40代男性。彼も母親と同居していますが、都内の大きな家の登記は彼のものとなっていました。とてもいい条件です。
ただ懸念材料となっていたのは、男性が「母親と絶対同居」と言い張っていたこと。「年老いた母を1人だけアパートか何かに住ませるわけにはいかない。自分たちが出ていったら家賃がかかる。だから同居しよう」と強く主張していました。E子さんはその件は目をつむり、こちらの男性へ気持ちが傾いていました。
変わったのは男性側の考え
一方、関西の男性は、家のリフォームを提案。しかし、家は狭くリフォームしたところで二世帯住宅にはならない。母親の容態もだいぶ悪いので、リフォームしても介護の負担軽減にはならないだろうと判断しました。
そこで、E子さんは率直に「介護が嫌なわけではないが、あの状態のお義母さんの面倒をみる自信がない。私の両親は『自分たちは老人ホームに入る』と言っています。『娘に面倒見させたい』とは一言も言っていません。あなたもお義母さんを施設に入れることを考えてほしい。であれば結婚を考えます」とはっきり言ったそうです。すると、男性はすぐに老人ホームを予約、翌月にはいつでも入所できるように手続きを済ませてきました。
E子さんが老人ホームに入れるよう強く迫ったわけではありません。男性のほうが徐々に気持ちが変わってきたようです。「今日は具合が悪い」「足が痛いから動けない」と言う年老いた母親の面倒をいきなりみろと言っても無理だろう。彼女でなくても自分がこの先ずっと1人でみるのも厳しい。介護のために仕事をセーブしていなければ、年収を200万円くらいアップさせられる⋯⋯。
男性は「彼女のおかげで将来を考えるいいきっかけになりました。物事を論理的に考えて教えてくれる彼女のような女性をぜひ奥さんにしたいと思った」と語っていました。
東京在住の男性は弊社の会員だったこともあり、私から「新婚の期間は夫婦だけで外に住んだほうがいい。彼女が結婚生活に慣れて、お母さんとも仲良くなって、彼女のほうから『お義母さんも年だし、私が面倒みようかしら。一緒に住めば家賃もかからないし』という気持ちになるまでは、2人きりで大事にしてあげて」と説得しましたが、「いや親は捨てられません」と言い張っていました。
お見合い結婚の場合、交際が始まって3カ月ほどで結婚します。夫婦ともお互いよく知り合えていない状態です。その生活に慣れるまで1〜2年はかかるでしょう。その上、義両親までいたら3人と関係を築いていかなければなりません。
またE子さんの場合、関西から東京に出てくるので土地にも慣れなければなりません。自分たちは何も変わらないのに、「嫁に来てくれ、来てくれ」というだけでは結婚は無理。親世代にはそう言いたいですね。
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