ユニクロ転職、戦略コンサルの「脳天ガツン」話 結果オーライ人生を変えたリード・ザ・ジブン
ちょうど、そんなときに、野田さんのリーダーシップ研修を受けることになりました。野田さんはとてもシンプルな問いを参加者に投げかけました。
人生で何を成し遂げたいのですか?
BCGという場で何を実現したいのですか?
当時の私は、戦略コンサルタントなのに、このシンプルな問いに答えられませんでした。続けて、こう述べられました。
「これこそがリーダーシップの原点で、これがない人には、人はついてはきません。リード・ザ・セルフ。強い自分の志や思いがあり、それに周囲の人々が共鳴し、この思いを一緒に実現したい、助けてあげたいと共鳴してくれたら、それがリード・ザ・チームとなり、それがさらに大きなうねりとなると社会を変えるほどのインパクトをもつ、リード・ザ・ソサエティーになるんです」
この言葉に脳天を強烈にガツンとやられました。東京大学卒業後、当時、就職人気ナンバーワンだった東京海上に入り、米国留学を経て、流れのままにコンサルタントに転じるという「結果オーライ人生」を送っていた私にとって本当に衝撃でした。
柳井社長の印象が「勘弁してよ」から「感動」に
自分が人生で一体何を実現したいのかという志がないまま、戦略コンサルティングファームのパートナーに昇進していた筆者の人生を大きく変えました。戦略を実践する人を変革することをライフワークにしようと決意しました。これがなければ、のちにユニクロで人材育成機関の責任者をやることも、57歳で起業することもなかったような気がします。
この野田さんの「リード・ザ・セルフ」を起点にしながら、筆者がBCGでの組織プラクティスの責任者、ファーストリテイリング(ユニクロ)での人材育成機関FRMIC(Fast Retailing Management and Innovation Center)担当役員、アクセンチュアでの人材・組織変革プラクティスのジャパン全体の責任者等の経験を経て、試行錯誤を重ねながら磨き上げてきた「リード・ザ・ジブン」という手法に行き着きました。
「過去最高の自分を育て、仲間を育て、最強チームをつくる」、つまり、自分を向上させ、かつ、周囲、チームをも向上させることを目的にした人と組織の変革手法です。
BCGを卒業して、別のコンサルティングファームに所属していたとき、BCG時代の同僚パートナーで、当時ファーストリテイリング(以下、ユニクロと表記します)の人事担当役員をやっていた友人が、ある日やって来て「FRMICやってもらえない?」と割と軽いノリで言ってきました。
FRMICというのはFast Retailing Management and Innovation Centerの略で、ファーストリテイリングが2020年に5兆円(今は3兆円になっていますが)を達成しグローバル・ナンバーワンになるために必要な経営者200名をつくることをミッションとした経営者育成機関です。柳井正社長が学長で、ハーバード・ビジネススクールの竹内弘高教授が副学長というなかなかシビれる体制です。
筆者は当初メディアでの報道等の印象から「勘弁してよ」と言っていたのですが、一度だけダマされたと思って会ってみてという友人の言葉にほだされ、柳井正という人への好奇心も手伝って会ってみることにしました。
お会いしてみて電流が走ったようにビビッときてしまいました。「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」というファーストリテイリングのミッションを達成しようとする柳井正という人の本気度がひしひしと伝わり感動してしまい、コロっとやられてしまったのです。
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