転職で引く手あまたな人に共通する30代の経験 人生100年時代を生き抜くキャリアの磨き方

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市場価値の要素分解をしてみよう。筆者徳谷は、市場価値とは、大きく「希少性」×「再現性」×「市場性」で分解されると提唱している。

クリエイティブジャンプをすると、このそれぞれを高められる。世の中には単一スキルでも能力の高い人材はごまんといるため、上には上がいるものだ。

さらに同じ場所では身に付かない、異なるスキルを身に付け、2つ以上のスキルを掛け合わせたほうが圧倒的に「希少性」が高い。10人のうち1人が持つ力でも、それを3つ4つ掛け合わせれば、1000分の1、1万分の1になる。例えば、営業だけ、エンジニアだけ、経理だけというキャリアを持つ人は数多いが、それぞれが高いレベルで備わっている人材は非常にレアになる。

これまでの経験則が通用しない環境に身を置き、必死で考え抜き手を尽くす。そんな経験を乗り越えることで、新しいスキルや知識が身に付き、多様な視点を踏まえた、「希少性」が高まるはずだ。

特定の会社でしか発揮できない力では意味がない

同時に、クリエイティブジャンプをして、まったく新しい環境に行けば、一緒に仕事をする仲間も、マーケットの状況も当然異なる。その条件でこれまで発揮してきたような力を再現できれば、そのときこそ特定の環境に依存しない独自の価値の「再現性」が磨かれる。例えば、特定のA部長を知っている、決裁ルートはこちらからなど、特定の会社や部署内でしか発揮できない力には何の意味もないのだ。

そして、同じ環境に安住していては、外部から見た本当の市場価値はわからない。会社を退職したとたん、これまでよくしてくれていた取引先や友人関係が一気になくなることは多い。つまり、「あなた個人」ではなく、「看板」に価値があったということだ。新しい環境に行ってみて初めて、本当に自分がどこまで必要とされるのか、「市場性」を本質的に理解することができるのだ。

転職者のデータをもとにした研究では、目先の給料だけで転職先を選んだ人よりも、一時的に苦労をしてでもクリエイティブジャンプとなる選択をした人のほうが、中長期的には結果としての市場価値が高くなり、年収が増えているという結果も出ている。

このように、クリエイティブジャンプは既存の延長線にない非連続な挑戦であり、“修羅場をくぐる”ような環境に飛び込むことでもある。

エッグフォワードでは、コンサルティング支援も多く手がけるが、実際に先進企業でも、次世代リーダープロジェクトでは、あと1歩突き抜けさせたい社員には、多少の失敗も承知のうえでクリエイティブジャンプ経験を積ませている。

2. 自らの価値観や強みなど、Context(背景)を理解する

2つ目のCは、Context(コンテクスト=背景)。つまり人生のバックグラウンドだ。新しいものにすぐ飛びついても続かない人は、自らの本質的な価値観や強みを深く自覚していないことが多い。表面的な好き嫌いに、自分自身が振り回されているのだ。自分が見えていないので、「ここではないどこか」へとジョブホップを繰り返して、スキルや能力も身に付かないという悪循環に陥ってしまうケースは多い。

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