熱々の鍋で三つどもえ、牛丼チェーンの思惑 先行する吉野家、すき家と松屋が追随

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すき家が2月から投入した鍋メニューが貢献し、既存店売り上げが回復

これは復活の兆しなのか――。牛丼チェーンの最大手ゼンショーホールディングス(HD)が展開する「すき家」の2月既存店売上高が前年同月比で3.9%となった。プラスに転じたのは2011年8月以来、実に30カ月ぶりだ。

回復のきっかけは、2月14日から販売を開始した「牛すき鍋定食」(580円)だ。通常の牛丼(並盛280円)に比べ2倍以上の価格設定にもかかわらず、販売は堅調に推移。2月の客単価も前年同月比で3.4%増と1月の同1.6%増からさらに上向いた。

この鍋メニューで先行する吉野家ホールディングスも好調だ。「吉野家」では昨年12月上旬に「牛すき鍋膳」(580円)投入したところ、当月の既存店売上高は前年同月比で16%増(11月は同1.5%増)と一気に2ケタ増を達成。14年1月も14.2%増となった。すき家が鍋メニューを投入した2月も11.9%増と高水準を保っている。

松屋も3月中に投入

一人負けを喫したのが松屋フーズの「松屋」だ。2月の既存店売上高は前年同月比で5.7%減と大手3社の中で唯一のマイナス。ライバル2社が高単価の鍋メニューで盛り返す中、有効な対策を打ち出せなかった。

そこで、松屋も3月中に「すき焼き鍋膳」という鍋メニューの投入に踏み切る構えだ。現在、一部の店舗で試験導入しており、順次、全店に広げていく。価格も 先行する2社と同じ580円になる見込みだ。最後発だけに、すき家や吉野家とどのような違いを打ち出すかが、巻き返しのポイントになりそうだ。

結局、大手三社がすべて取り扱うことになる鍋メニューだが、先陣を切った吉野家は特に思い入れが強い。

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