日本の「アパレル危機」の想像以上に大変な実態

モールすら埋まらない現状に活路はあるか

地方百貨店の閉鎖と同様、地方のアウトレットや大型モールでも一部ではすでに空床化が問題になっている。上記のようにメーカーがブランドの閉鎖や店舗の削減をする中、かつて何百ものショップが詰まっていた売り場が埋まらなくなってきた。

ここ最近、好調と言われるコスメブランドで埋めたり、フードエリアを拡大したりと、店舗構成を変えてきてはいるものの、テナント撤退によってできた穴を埋めるのは難しい。とくにスペースが大きかったフォーエバー21、アメリカンイーグルなどの大型SPAブランドの撤退など、ファッションテナントの減少は進み、どこも苦戦している。

多様化する購買チャネル

ここ10年程、消費者にとっては当たり前の購買チャネルの多様化に、業界側はかならずしもついていけていない。

百貨店、ショッピングセンター、アウトレット、駅ビル、ECでもアマゾン、ZOZOTOWN、楽天などのECモール、自社EC、また最近ではインフルエンサーがインスタから直接ECに誘導するなど“買い方”は多種多様になっている。加えて、メルカリなどフリマアプリまで出てくると、欲しいものをどこで見つけるかはさまざまだ。わざわざ行く百貨店より、スマホで比較購入もできてしまうECショッピングの手軽さがより進化している。

大型のショッピングセンターの煩わしさ。車を駐車して、広い店内で疲れ、欲しいものが見つからないストレスより、ECで欲しいものが手軽に家に届くのであれば、リアル店舗の消費者離れが起きることも避けられない。

ここ数年、ショッピングセンターの出店は鈍化している。同様に、退店テナントも増えている。ファッション系だけでなく、インテリア、スポーツ、ホビー、飲食なども苦戦が続いている。

既存のショッピングモールなどは依然、高い出店料がかかる。ファッション系であれば内装費用も店内平均坪当たり120万円くらいからかかる。10坪くらいでも1000万円は優に超えるのが現状だ。大手企業でなければ出店のハードルは高い。空床化していても、若いブランドが入りにくい背景がここにある。

しかし、「いい話がない」と一概に言い切るのは危険だ。人気スタイリストである藤原ヒロシ氏がキュレーションする「ザ・コンビニ」のナイトマーケットは、ミレニアル世代の若者で大盛況だし、相変わらず原宿のゴローズには行列ができている。「売れない」のでななくて、消費者が「必要のないものを買わない」に近いのではないだろうか。

20代たちと話していると、「買う」こと自体を避けているのではないということを感じる。むしろ、無駄なものを買うことへの罪悪感が大きい。

ある女子大生(22歳)は、「ファストファッションはすぐゴミになってしまうからできるだけ買わない」と言う。自分の好きなデザイナーズブランドをシーズンにお小遣いをはたいて、数点だけ買って、大切に着る。

一方で「ユニクロは質がよく、コスパがいいから買う」という。大好きなブランドやアイテムがあれば、公式サイトやセレクトショップのECを見たり、メルカリもチェックしながら探し当てて買うなど、コスパ意識が発達している。

そんなミレニアル世代が立ち上げた環境保護運動組織「Extinction Rebellion」の呼びかけで、52週間(1年間)新しい服を買わないファッションボイコットキャンペーン「#boycottfashion」が始まっている。

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