日本の「アパレル危機」の想像以上に大変な実態 モールすら埋まらない現状に活路はあるか
世界中で50万人を超える若者たちが気候変動のために行動を起こす現在。リサイクルやアップサイクルされた衣類のみを手に取るよう呼びかけるこの運動が、Z世代を中心に支持を集め始めている。
インフルエンサーのぷるこ(@purukousagi)さんは自分でブランドをプロデュースしていたが、「余剰の服が廃棄されることがわかって、一旦新作を作ることをやめる」と宣言した。
昨年は環境サミットにおける当時、16歳のグレタ・トゥーンベリさんのメッセージが大きな話題になった。自分たちの未来の地球がどういう環境になるのか? ミレニアル&Z世代が強い意志でサスティナビリティーへの関心を強く持っていることは確かだ。
これから淘汰されていくのは「過剰」なものだ。オーバーストア、オーバーサプライ、オーバープロダクション。これらが生み出す「無駄」は、環境破壊につながる。それを敏感に感じているのが若者世代である。
新たなリテールのムーブメント
昨年11月にリニューアルオープンした渋谷パルコのオープニングは活況だった。新旧の日本ブランドが並び、初出店ブランドや初業態が並び、ラグジュアリーブランド、地方名産品、アートやポケモンセンターまで、本来の渋谷のエネルギーを閉じ込めたフロア構成。往年の渋谷を知る人にとっては音楽の殿堂であったWAVEが新たに復活したことも話題となった。
一方で昨年9月に表参道のワールド本社ビルの1階で開催された「246st MARKET」では、基本店舗を持たないD2C(Direct to Consumer)ブランドが15社集まり、10日間にわたり、POP-UP型百貨店”を開催した。ここでは普段ECを中心に集客しているブランドたちが、期間限定の店舗を開くことで新顧客を獲得したり、既存ユーザーとのコミュニケーションをするなど、リアルではできない体験、情報収集をした。
そのブランドたちの取材をすると、「表参道ならではの新しい顧客を獲得できた」「実際に商品を手にすることで、顧客とより深いコミュニケーションができた」「買わなかったお客様から、“こういうものを作ってほしい”などの意見が聞ける」など大方ポジティブな意見が多かった。
リアル店舗の役割は、単なる売り場から変化してきている。
・新規顧客獲得
・ユーザーとのコミュニティ
・情報収集基地
・ECでは体験できない出会い
・手に取れて、試着ができること
・作り手の思いに触れること
前出の「246st MARKET」開催中に印象的な場面があった。「Beyond the reef」というカゴとニットを合わせたバッグブランドがある。そこが開催した編み物ワークショップ。教えるのはブランドを立ち上げた女性の70代の義理の母。編み物の先生として、ユーザーをネットで集い、小学生から年配の方まで、8名ほどのグループで編み物講習をする。2時間ほどで小さなバッグが完成。その間、笑い声が絶えず、買うだけじゃない、作る楽しみもシェアしていた。
先日、実家近くの水戸で聞いたことだが、大洗にあるアウトレットでも、空床問題は深刻なのだそうだ。都会と同じ利便性を求めて地方に誘致されたショッピングモール。地元の個人商店があおりを食って、続々と廃業した。しかし、オーバーストアのあおりを受けここ数年、ここでも空床問題は深刻だ。
だが、そのあいた空間に今、地域の手作りサークルが小さなお店を出し始めているのだという。地域の有志で破格の値段で場所を借り、そこに自分たちで作ったアイテムを置いたり、ワークショップを開いて、地域の女性たちで集まったりと、あらたな“地域活性”の拠点となり始めているのだという。
こういった“体験”型ショップも小売りの原点回帰現象の1つだ。
どこでも買える何か、ではなく、ここでしか出会えない何か。
均質化したショッピングモール、モノ余り、供給過多、オーバーストアという今のリテールの次の形とは何か? 次回はアメリカで起きている、リテールの大変革について、現地レポートを含めてお伝えしたい。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら