高配当利回り株に投資する人がはまる落とし穴 本当に「おいしい」と言えるのだろうか?

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第3に、配当利回りが高い銘柄を「割安」と見て、これに注目した「バリュー投資」(割安な株式への投資)に取り組む投資家が増えているのではないか、という理由だ。

配当利回りを基準としたバリュー投資は、内外に古くから存在する。例えば、NYダウの構成銘柄(30銘柄)のうち、配当利回りの高い10銘柄を保有する通称「ダウの犬」戦略がアメリカでかつて開発されてそこそこにうまくいった時期があって、有名である。

配当利回りをどう考えればいいのか?

配当利回りが高い株であるということは、端的に言って、不人気な株式だということだ。多額のお金を株主に支払うのに、投資家が株式の価値を高く評価しないのだから、配当利回りは「不人気指標」だと考えておくのが最もわかりやすい。

成長性のある事業を持っていて、投資に資金が必要な会社は、稼いだ利益を配当に回して、その後に資金を銀行借り入れなどで調達するよりも、利益を再投資したほうが、効率がいい。利益を配当や自社株買いに回すということは、「追い投資機会(あるいはいい投資のアイデア)」を持っていないと言っているようなものなので、高配当の会社は、ある意味では「冴えない会社」だ。

もっとも、株式投資にあって投資する対象が「不人気」であることは、そう悪いことではなく、むしろ好ましい属性だ。人気が改善する場合の変化が大きいということでもあるし、会社の実力が過小評価されているなら、将来会社の実態が株式市場の参加者に正しく理解されるだけで有利なリターンが得られる可能性が大きいからだ。

先に挙げた3つの要因でいうと、3番目の「割安株投資」の1つのアプローチ方法として検討する、ということなら、筆者は高配当株投資に賛成だ。

一方、「預金や債券の利率と比較して高利回りだから」「現金収入を生活費等にあてたい」という理由で高配当株に注目するのなら、いささか問題だと思う。

例えば、「配当利回り4%」という数字だけを見ると、ずいぶん魅力的に感じるかもしれない。だが、預金や国債などと、個別の株式のリスクには大きな差があり、両者を比べるだけで優劣を論じるのは不適切だ。

また、東証1部平均の約2%の配当利回りと比較すると、「2倍もある!」と思うかもしれないが、「差は年に2%しかない!」のであって、利益予想の下方修正でもあれば、その何倍もの値下がり損が出かねないのであって、見かけほど有利なわけではない。

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