過干渉な毒親から逃げ出した30代男の最終手段 高額なカウンセリングには実効性がなかった
中学の頃、勉強中にふと気配を感じ、後ろを振り返ると父がいた。その瞬間、ボコボコに殴られた。「後ろを振り返るということは集中していない証拠だ」と。笠原さんが父親に殴られるたび、母はただオロオロし「目だけはやめてちょうだい!」と泣き叫ぶだけだった。
アルバイトを禁じられていたことから世間知らずに
大学では厳しい寮に入れられた。親にはアルバイトもサークルも禁止されていたので、とにかく勉強をした。また、入った学部が取得すべき単位数が多かったこともあり、遊ぶ暇がなかった。
多くの若者は、アルバイトを通して世間一般的な常識を知るケースが多い。しかし、笠原さんはそれを経験していないので世間知らずな部分がかなりあった。この日の前日も、寝るためにネットカフェを利用しようとしたところ、客引きに引っかかってぼったくられそうになったという。
「大学卒業後は父の会社の関係の地方の企業に就職したのですが、数年経った頃、父親から『戻ってこい』と言われ、実家に戻り実家の手伝いを始めました。一応、初任給並の給料は父親からもらっていました。しかし、やはり親からの過干渉がひどいのと、自分の家がおかしいことに改めて気づきました。そして、自分自身のメンタルもだいぶ歪んでいるのではないかとさまざまなセラピーを受けました」
ちなみに、外出時も父親に監視されているので、そのようなセラピーやカウンセリングを受けに行く際はお使いのついでに寄っていたという。
「周りからは『育ててくれた親なんだから』と言われて余計つらく、この親子関係の悩みを誰かに相談することを躊躇したこともありました。それでも、セラピーやカウンセリングにはかなりお金を使いました。中にはうさんくさいものも多かったと思います。
ある日、ネットで『家族問題』などで検索をして見つけた毒親脱出をテーマとするセミナーに申し込みました。最初は60分の電話カウンセリングで8000円。ちなみに折り返し電話での対応だったので電話代はほとんどかかっていません。その後、対面での60分のカウンセリングで1万2000円を払いました。その際、『あなたは絶対に毒親から脱出すべきだ』と、洗脳めいたことを言われました」
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