シェア過去最高。輸入車ばかりがなぜ売れる? 強いブランド力に加え、品ぞろえが充実

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VW「アップ!」が転機 輸入車の潮目を変えた

昨年11月、VWの主力車種「ゴルフ」の7代目となる新型車が、「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。輸入車の受賞は史上初であり、日本のマス市場に受け入れられてきたことの一つの象徴ともいえる。VWはほかのドイツ車に比べると大衆車的な性格が強いが、より日本市場に浸透すべく、ここ数年さまざまな施策を講じてきた。

転機となったのが12年の小型車「アップ!」の投入だ。軽自動車ともぶつかる149万円からという価格に加え、現在では国産の小型車でもすっかり主流になった自動ブレーキを、当時としては珍しく標準装備にした。さらに、日本人タレントを起用したCMの投下を本格化。先述の新型「ゴルフ」のCMでも活動再開直後のサザンオールスターズが出演したことが話題となった。

効果は絶大だった。「アップ!」投入後は、従前に比べディーラーへの来場者数が25%増加。「親しみやすさを前面に出し、まず来てもらうことを重視した。やはりテレビCMの影響は大きい」と、フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン(VGJ)の庄司茂社長は満足げに語る。

VW傘下の高級ブランド・アウディも、13年まで7年連続で過去最高の販売台数を更新し続けている。主力の「A3」や「A4」に加え、11年に最も小型のエントリーモデル「A1」を投入するなど、小型車分野でも存在感を高めてきた。01年にVWチャネルでの販売から独立、ブランド単独ではゼロだった店舗数を、直近では107まで拡大させたことも寄与している。

今年も、競合国産車が少ない中型車「A3セダン」を年初に発売し攻勢をかける。さらに年央には最高級クラスの「A8」を投入予定。「われわれはもともと後発だったが、小型車が浸透し、ハイエンドモデルを強化する段階に入ってきた」(大喜多寛・アウディジャパン社長)。

今後は新規出店だけでなく、幅広い車種を見てもらえるよう、展示台数にもこだわった店舗展開をしていくという。昨年8月にオープンした販売店「アウディみなとみらい」は展示台数が17台と国内最大規模。好立地が奏功し、来場者数は月平均400~500組と他店舗の4倍以上。世代も20~60代と幅広い。

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