シェア過去最高。輸入車ばかりがなぜ売れる? 強いブランド力に加え、品ぞろえが充実

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環境規制が生んだ小型化 手の届く高級車が続々

14年に入っても勢いは止まらない。消費増税前の駆け込みもあるとはいえ、1月の販売台数は前年同月比約4割増。特にVWは4割強、ベンツに至っては7割の増加である。各社日本法人のトップは「今年も過去最高を更新する」「2ケタ成長を達成する」と、みな鼻息が荒い。

好調の基本的な要因は、各社とも比較的小型かつ低価格な車種を充実させていることにある。特にドイツの高級車メーカーが築いてきたのが「プレミアムコンパクト」という分野。小型車でありながら、高級ブランドならではの内外装や走行性能を持ち合わせているのが特長だ。

象徴的なのが昨年1月に日本で全面改良車が発売されたメルセデス・ベンツの「Aクラス」。先代に比べよりスポーティなスタイルへ変身。ベンツの中では最も手の届きやすい284万円からという価格も受け、昨年は約1万2000台と同モデルとして過去最高を記録した。

「ダウンサイジング(小型化)の試みが、いい意味で日本市場に合致した。ベンツには200万円台の小型車もある、という認識が広がり新規顧客が増えた」(メルセデス・ベンツ日本の上野金太郎社長)

東京都心のディーラーでは「国産の小型車からの乗り換えが増えている」(幹部)という。年齢層も、先代は約3割だった40代以下の層が、今回のモデルチェンジを経て5割に増え、裾野の広がりを物語る。

ベンツを展開する独ダイムラー社は、15年までに「ニュー・ジェネレーション・コンパクト・カー(NGCC)」と呼ぶ、Aクラスをベースにした五つの小型車を世界で投入する計画を推進中だ。発売済みのA、B、CLAの3クラスに、今年7月にも国内投入される小型SUV(スポーツ多目的車)「GLAクラス」、そして未発表の1モデルを加えたものだ。ベンツの日本での販売は13年は5万3731台と2年連続で2割以上増加。先の3モデルが牽引車となっている。

そもそも欧州メーカーが小型車を相次いで投入する背景には、今後厳しくなる燃費規制がある。特に彼らが本拠地とするEUが定めた規制では、21年に販売する新車の平均燃費を、実質的にガソリン1リットル当たり約24キロメートルにまで改善しなければならない。大型高級車を主力とする独系各社の12年の平均燃費は同16~17キロメートルと低く、小型車・低燃費車の拡充は不可欠だ。

欧州車に詳しいローランド・ベルガーの長島聡・シニアパートナーは「(排気量が2リットル以上といった)大きな車ばかり作っていては基準は達成できない。既存の車とプラットホームを共有し、小型車を作る動きが広がっている」と分析する。

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