正月三が日にテレビをあまり見なくなった理由 思い切った冒険できず9割強が既存コンテンツ

拡大
縮小

正月三が日のプライムタイムで放送される33番組中、赤字が18本(55%)、黄字が13本(39%)、青字が2本(6%)。言い換えれば、「日常見ている番組(赤字)か、何度か見たことのある番組(黄字)ばかりで、正月だけ見られる番組(青字)はほとんどない」のです。

象徴的なのは、「芸能人格付けチェック」。2006年から2017年までは正月のみの年1回でしたが、2018年から年3回の放送に3倍増。「春は“BASIC”、秋は“MUSIC”と掲げることで差別化しよう」という意図こそ感じますが、コンセプトが同じため「正月しか見れない特別な番組」というプレミア感が激減しました。

「とんねるずのスポーツ王は俺だ!!」も同様で、2000年から20年連続で正月三が日に放送されていますが、2012年から夏か秋にも放送する年2回に変更。「正月しか見られない特別な番組」という感覚が薄れつつあります。

また、フジテレビは2018年、2019年に「ニッポンよ!セカイを倒せ!フジヤマ~日本のNo.1vs世界のNo.1~」という特番を1月1日夜に放送し、定番化を目指したものの、低視聴率に終わったことで今年は放送を回避しました。

「芸能人格付けチェック」「とんねるずのスポーツ王は俺だ!!」は、正月の高視聴率を別の時期でも獲得するために放送回数を増やし、新たな正月番組の「フジヤマ」は低視聴率で打ち切り。前述した赤字と黄字の番組が多いのも、やはりある程度安定した視聴率が見込めるからなのです。

テレビ朝日がわざわざ正月三が日にシリーズドラマの「相棒」「警視庁捜査一課長」を放送するのも、外出やネット使用が少なく、リアルタイム視聴が見込める中高年層に強い番組だから。

しかし、他局から見たら「ふだんより見てもらいやすい正月まで中高年向けの番組を放送すると、ますます若年層のテレビ離れが進んでしまう」という懸念があり、スポンサー収入へのつながりにくさも含めて、中高年向けの番組は「視聴率が獲れたから」と言って喜べないところがあるのです。

「既存番組に頼るしかない」苦しさ

純粋な正月番組が減っている理由は、視聴率だけではありません。各局ともに「作れない」という理由もあるようです。

その主な理由は、「正月特番用の派手なセットを作る、スケールの大きいロケをする予算がない」「正月のおめでたいムードを醸し出せる大物タレントが減った」「働き方改革で、一から企画を立てる、プロデューサーや作家が練り上げる、各芸能事務所にオファーするなどの時間がない」「近年の正月番組がコケているため、なかなか企画が通らない」などの逆境尽くし。その結果、「既存番組に頼るしかない」という状況になり、正月番組は減ってしまうのです。

各局のテレビマンたちが考えているのは、「新しい正月番組を作ること」ではなく、「既存番組にどうやって正月のムードを加えるか?」。正月らしいコーナーの採用、正月バージョンのセットや衣装、プレミア感のあるゲストのキャスティング、豪華プレゼントの実施などで乗り切ろうとしていますが、「いつも見ている番組とレギュラーメンバー」である以上、純粋な正月番組のムードを醸し出すことはできません。

次ページタイトルがやけに長いと思いませんか?
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
パチンコ業界で「キャッシュレス」進まぬ複雑背景
パチンコ業界で「キャッシュレス」進まぬ複雑背景
イオン、PB価格据え置きの「やせ我慢」に募る憂鬱
イオン、PB価格据え置きの「やせ我慢」に募る憂鬱
半導体需給に変調の兆し、歴史的な逼迫は終焉?
半導体需給に変調の兆し、歴史的な逼迫は終焉?
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
  • 新刊
  • ランキング
東洋経済education×ICT