正月三が日にテレビをあまり見なくなった理由 思い切った冒険できず9割強が既存コンテンツ

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また、前述した番組名を見て、「やけに長いな」と感じたものが多かったのではないでしょうか。これは「タイトルの長さでインパクトを与え、他局と差別化して特別感を醸し出し、視聴者に選んでもらおう」としているから。このような長いタイトルが可能なのは、「長時間特番であるほどラテ欄が大きいから」という理由もありますが、裏を返せば「長いタイトルにしなければ見てもらえない」という自信のなさとも言えるでしょう。

かつては、「新春スターかくし芸大会」(フジテレビ系)、「番組対抗かくし芸大会」(日本テレビ系)、「新春オールスター大運動会」(TBS系)、「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ」(日本テレビ系)、「タモリ・たけし・さんまBIG3 世紀のゴルフマッチ」(フジテレビ系)のような正月三が日にしか見られない風物詩の特番がありました。

また、その他でも「新春初笑い」「笑い初め」とうたわれたものが多く、よほど人気がなければ、あえて放送中の番組を選ぶことはしなかったのです。その意味で惜しいのは、「さんま・玉緒のお年玉!あんたの夢かなえたろか」(TBS系)。

同番組は1995年から25年連続で1月に放送されていますが、現在の放送日は1月10日前後になり、今年も13日に予定されるなど、正月のイメージがほとんど消えてしまいました。「毎年楽しみにしている」という人も多く、家族で初笑いするにはぴったりの内容だけに、正月特番の少ない今こそ三が日に戻すべきなのかもしれません。

正月はイメージを上げ、顧客をつかむ絶好機

年末以上に年始は、「家族そろってこの番組を見る」という習慣をつけやすいところがあり、テレビ局には「正月ムードを実感してもらう」だけでなく、「家族団らんをサポートする」という社会的な役割が求められています。

また、新たな正月特番を放送して各家庭の定番にできれば、中高年層には「やっぱりテレビは面白い」、若年層は「テレビって意外に面白い」と感じてもらえるでしょう。つまり正月三が日は、テレビに対する視聴者のイメージを上げやすく、新たな視聴者をつかみやすい時期であり、1年のよいスタートを切るためにもオリジナリティーの高い番組が必要なのです。

ここでは新年早々に問題点を挙げましたが、各局のテレビマンが限られた予算、時間、表現の幅の中で試行錯誤しているのは間違いありません。だからこそ「純粋な正月特番は無理」と最初からあきらめるのではなく、局員の英知を結集して予算、時間、表現の幅という問題をクリアした正月特番を模索してほしいのです。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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