りゅうちぇる「素の自分をきちんと愛する方法」 不登校の当事者たちへのメッセージ

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――批判する相手の背景を考えるようになったのはいつからですか?

子育てを始めてからです。子どもは成長にしたがって言葉や行動を変化させます。こちらが困ってしまうときもありますが、そのときは「そもそもどうしてこういう行動をとったのか」と背景を考えることが増えたんです。

それからは僕自身の心境にも変化があって、子どものことだけでなく、他人の行動や物事の背景を考えられるようになりました。

とはいえ、やっぱり傷つくこともあります。最近で言えば「あなたの子どもがかわいそう」なんて言われて、すごくショックでした。

そんなときは「この人は僕のことを知ってるの?」と自分に問いかけるんです。

尊敬している人に言われたら考えてもいいけど、赤の他人から投げつけられた言葉で傷つく必要はない。背景がわからなければ、その言葉も受け取っちゃダメなんだと思うんです。

――それでも自分を見失ってしまったときには、どうすればいいのでしょう?(26歳・ゆい)

僕は「自分の色」を塗りかえてもいいと思っています。この話はニュアンスで受け取ってほしいんですが、その人の基盤となる色はあります。

それでも人間は生きている以上、色は塗り替えられていくんです。僕自身、テレビに出始めたころは、ヘアバンドとチークのスタイルでしたけど、今は変わってきました。

見失うのは魅力が増す証拠

自分のために自分を貫くのも大切だけど、時には変化があってもいいんです。

その間には何度も傷ついたことがあって、「本当に変わってよかったのかな」と思うこともあります。でも、涙を流した分だけ人に優しくなれます。

だから自分を見失ったとしても、それはちゃんと成長していて、どんどん自分の魅力が増していく証拠。大丈夫だと思いますよ。

――私、今の話、すごく共感しました。私は、中学校のときにはいじめで苦しんできたんです。そういう経験があっても、「まわりが望む自分」にしがみつこうとしてしまい、葛藤しています。そんな自分を受け入れる方法はあるのでしょうか?(18歳・さゆり)

まだ気持ちに整理がつかないときは問題から距離をとってみるのも1つの手だし、無理に向き合ったり、がんばったりする必要はないです。

自分は甘やかしていいんです。自分自身のことも、他人に対する姿勢も「今なら切り替えられるかも」というタイミングは、必ず来ます。

そういうときには自然と切り替えることができると思います。

――ありがとうございました。

(聞き手・木原ゆい/子ども若者編集部)

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