NHK、「常時同時配信」実現への遠い道のり 高市大臣の「ちゃぶ台返し」に噴出する批判

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「悲願」であるNHKの地上波放送の常時同時配信に、「待った」がかかった(撮影:尾形文繁)

NHKの「悲願」である、地上波放送の常時同時配信に横やりが入った。

本格的な検討が始まってから議論に4年の歳月を費やした、NHK地上波放送の常時同時配信が2020年4月に始まる。2019年5月に常時同時配信を可能にする放送法改正が行われ、残るはNHKが提出する実施基準案を総務省が認可するだけだった。

しかし、高市早苗氏が2019年9月に2年ぶりに総務大臣に就任し、11月にNHKに対して基準案の再提出を要求したことで、同時配信に暗雲が垂れ込めてきた。

高市大臣就任で起きた「ちゃぶ台返し」

「(NHKは)必要に応じて実施基準案を修正するということだが、率直に申し上げて必要だと考えている」。12月13日、総務省がNHKに基準案の再提出を要求して以降初めてとなる有識者会議「放送を巡る諸課題に関する検討会」の席上で、高市大臣はNHKに対し、強い口調でさらなる譲歩を迫った。

「まさにちゃぶ台返しだ」と憤るのは、有識者会議でNHKの常時同時配信について議論してきたあるメンバーだ。準備が順調に進んでいたはずの常時同時配信は高市大臣の登場によって、後退を余儀なくされている。

NHKは5年近くの間、常時同時配信の実現を望んでいたが、日本新聞協会や日本民間放送連盟(民放連)の反発が強く、現在まで実現していなかった。その後さまざまな譲歩によって政治家と業界関係者の了解を取り付け、放送法改正が実現したはずだった。

しかし、高市大臣就任後の11月8日、総務省はNHK実施基準案の変更を求める「基本的考え方」を発表した。「高市大臣は自分がいた2年前と比べて、改革が進んでいないことに不満を抱いたのではないか」(常時同時配信に詳しい大学教授)。高市大臣はNHKに対し、コスト削減とガバナンス改革の2つを求めている。

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