NHK、「常時同時配信」実現への遠い道のり 高市大臣の「ちゃぶ台返し」に噴出する批判

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従来のNHK実施基準案は、常時同時配信やNHKオンラインの運営などネット業務に関わる費用を受信料の2.5%に収めるというものだ。加えて、民放への協力や国際ネット配信、オリンピック・パラリンピック東京大会などの4点に関しては、別途予算を計上する。いわば、「2.5%+アルファ」という考え方だった。

これにより、NHKは最大で受信料収入の3.8%(2019年度の予算ベース)まで予算を確保できる予定だった。だが、高市大臣はNHKの案について、費用増加によるNHKの肥大化を懸念。東京五輪に関する費用を除き、例外措置を認めないとした。

有識者は「総務省の対応は間違いだ」

高市大臣の登場により、NHKは大きな方針転換を迫られた。当初は24時間配信する予定だった常時同時配信の時間短縮など業務を縮小し、費用が受信料の2.5%以内に収まるようにする。

ガバナンス改革について、高市大臣はBS放送のチャンネル数削減や子会社の業務範囲の縮小と統合などを要求。NHKはBS放送を4チャンネルから3チャンネルに削減するなど、こちらも受け入れた。NHKは悲願である常時同時配信と引き換えに、それ以外の分野でも総務省に屈服した形だ。

有識者会議ではこうした総務省の対応に批判が飛び出した。電通総研の奥律哉フェローは「常時同時配信が2.5%という枠に縛られてしまう。新しいサービスを始めるのだから、それなりの規模感が必要だ」と総務省が求めた費用抑制策を批判する。

さらに、「(放送のIT化などで)日本は諸外国からかなり遅れている。それにもかかわらず、24時間365日常時同時配信できないことを懸念している。制度設計で縛りをかけるのは間違いだ」(奥氏)と語った。

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