プロ野球選手集結するチャリティ実現の舞台裏 球団の垣根を越えたどんなイベントなのか
プロ入り2年目に「何か支援活動をしたい」と球団に相談したところ、「世界の子どもにワクチンを日本委員会」の存在を知ることとなり、試合で1球投げるごとにワクチンを10本、勝利した試合は1球ごとに20本、完投勝利では1球ごとに30本を寄付している。
10年以上の支援実績がある和田に、筆者はチャリティーオークションで果たせなかった課題や、日本のプロ野球界でチャリティーを推進していくことについての悩みを率直に話した。メジャーリーグでもプレー経験のある和田は、その真意をすぐに理解。日本とアメリカのスポーツ界におけるチャリティー文化の違いや、日本球界が抱えている課題に強く共感した。
日本のプロ野球界でチャリティー文化がより根付くためにはどうしたらいいか。そして、それを推進するBLFがプロ野球ファンにもっと認知されるためにはどうしたらいいか。
そんな意見交換をしたのち、和田はBLFのスタッフ陣に「球団の垣根を越えて、野球界みんなでやっている雰囲気を出せるようなチャリティーイベントをやってみるのはどうか」と提案。そして、「僕もほかの選手に呼びかけてみます」と約束した。
しかし、その翌年の2018シーズン、和田は春季キャンプから故障を抱え、一度も1軍の公式戦で投げられずにいた。出口の見えないトンネルの真ん中にいる選手に対し、グラウンド外の協力を仰いでいいものかとBLF側は躊躇したが、和田はコンディションが決して順調ではないにもかかわらず、イベント開催に前向きな姿勢を見せてくれた。
その年は結局1軍のマウンドに立つことなくシーズンを終えることになったが、自身の背番号21にちなんで2万1000本、チーム日本一を記念した1万本の計3万1000本のワクチンを寄付。和田はプロ野球選手として以前に、1人の大人として支援活動をしているのだ。
選手へ、ファンへ。広がっていく支援の連鎖
和田の呼びかけでイベント参加に真っ先に手を挙げたのが、同い年の館山だった。則本も「和田さんのお誘いならぜひ」と早々に参加を表明。千賀もチームの偉大な先輩の声がけになんとか時間を調整し、畠山や吉田も時間を空けた。こうして豪華な6人が集まり、2018年に第1回となる「BLFチャリティートーク2018」が開催。まさに球団の垣根を越え、チャリティーの名のもとにスター選手が大集結した。
このイベントでは、6人の選手が3つのブースに分かれ、トークショー、フォトセッション、ウェブ配信を交代で行う。チケット代の一部とフォトセッションの際に行う寄付、そしてウェブ配信を通じてオンラインで集めた寄付をすべて合わせて、日本財団が運営する「夢の奨学金」に寄付されることとなった。
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