「コード・ブルー」作り手が語る医療ドラマの裏 新ドラマ「トップナイフ」が追求するリアル
「コード・ブルー」を見て進路を決めた若者
林 宏司(以下、林):お医者さんって、普通の人からするとハードルが高いイメージがあるんです。頭がよくて、厳しい仕事をしていて、ちょっと冷たい印象もある。でも新村先生に初めてお会いしたとき、とても気さくで話しやすかったんですよ。
新村 核(以下、新村):「コード・ブルー —ドクターヘリ緊急救命—」(2008年、フジテレビ)の打ち上げの席でしたね。すぐに意気投合して、お酒を飲んだり食事に行ったりする仲になりました。「コード・ブルー」は反響が大きかったですね。
林:「ドラマ見てました」にとどまらず、「あのドラマを見て医学部に進みました」と言われたのは初めてじゃないかな。医療関係を志望する若者が増えたと聞いて、うれしいですよね。「コード・ブルー」は医療ドラマのなかでもきわめてシリアスな面を描いたせいか、当初はあまり反応がよくなかった。ハッピーエンドの話ばかりではなかったし、「若い人を過酷な目に遭わせているドラマ」と言われたこともあります。でもそのシリアスさをきちんと受け止めて、将来の夢を見つけてくれた人がいる。本当にやってよかった。
新村:林さんには葛藤がありましたよね。フィクションと現実、つまり脚本・演出と実際の医療との間には、いつもせめぎ合いがあります。
林:そこが、たとえば家族ドラマとは違う緊張感があるところです。医療ドラマは人の命に直結したものを描くので、本当にフィクションにしていいのだろうかと気を揉みます。後ろめたさにも似た、独特の覚悟がいりますね。ただ、病気や怪我は誰しも身近にあることで、その不安や悲しみをドラマティックに表現するからこそ、医療ドラマは多くの人の興味を引くのだとも思うんです。視聴者は他人事ではなく、自分の問題として見てくれる。