30歳を超えると恋愛市場のルールが変わる
平林さんはシェアハウスの中でもあっという間にリーダーになり、恋愛対象というより寮母さんのような存在になってしまった。恋は外で見つけなければならない。
「20代の終わりになってくると、高校時代までの友だちが第2子を出産したりしますよね。すごく焦っていたわけではないけれど、自分のことも真剣に考え始めます。でも、(久しぶりに恋愛市場に復帰して)30歳を超えると恋愛ルールが変わることにびっくりしました。好きなら好きと言わないんですよね。駆け引きがあったりして……。私はいつまでも20代のテンションで動いてしまうので、男性から『(結婚相手として)囲い込まれるんじゃないか』と怖がられることもあったみたいです。そんなつもりじゃないんですけどね」
何事もストイックに取り組む平林さんは恋愛本もひととおり読破し、昨年の秋は「週1ペース」で合コンを繰り返した。予習ばっちりでケーススタディに臨むMBA学生のようなまじめさである。
「合コンの中でいちばんいいと感じた人とは、必ず個別の食事に行くようにしていました。お誘いもいただけるんです。でも、なぜかその次がない。どうしてなのか。私には分析し切れませんでした。そんな毎日に疲れ果てて倒れてしまったのです」
決定的に痛手だったのが、別のシェアハウスのリーダーをしている同い年の男性とのやり取りだった。平林さんの料理を食べに来たり、肖像画を描いてプレゼントしてくれたりと思わせぶりな行動をしていたが、同棲予定の彼女がいることが発覚。
「私ってつくづく男を見る目がないんだな、と痛感しました。さっさと婚活を終わらせて仕事に集中したいという気持ちで合コンなどをこなしていたのが、よくなかったのかもしれません。苦手なことはプロに任せるべきだと悟って、結婚相談所に入ることにしました」
いわゆる「逆玉」狙いを防ぐために、高学歴・高収入の男性会員が多いことで知られている結婚相談所に入会。男女同額の初期費用20万円弱を払い込んだ直後に、意外なところから出会いがあった。
「ボストン大学の留学仲間とフェイスブックでやりとりしていて、『久しぶりに飲もうよ』と誘ってもらいました。結婚の報告とかなんだろうな、と思って軽い気持ちで会ったんです。歳の近い男性でも恋愛対象ではないと、期待値を下げようとしていたのかもしれません。彼のほうも私がすでに結婚しているものと思っていたみたいです。飲みながら話していて、『あれ? 恋人もいないの?』とお互いにびっくりしました」
その彼は非営利団体の管理職を務めており、「年齢の割には高いポジション」で働く者同士で意気投合。そのまま平林さんの部屋に来て一夜を共にした。管理職同士なので意思決定が早いのだろうか。翌朝、シェアハウス内の「恋愛劣等生」として有名だった平林さんが住民たちから祝福の嵐を受けたことは言うまでもない。
なお、わずか2カ月ほどで退会することになった結婚相談所に関しては、「驚くほどいい男性がたくさんいた」と評価する平林さん。
「月4人ペースで紹介してもらえるのです。今の彼に出会ってなかったら……と思える人もいました」
仕事も恋愛も思いどおりにはいかない。でも、無駄や失敗を恐れずに力いっぱい行動し、たまに反省してまた動いていれば、思いがけない出会いと幸運を呼び寄せることがあるのだ。
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