スノーデンが暴露した「大量監視システム」の罠

プライバシーは家財と同じく自分で守るもの

同じくらい基本的なこととして、ウィンドウズやMacOSのソフトアップデートは、面倒臭がらずにきちんとしよう。各種の脆弱性利用は、悪玉クラッカーも政府監視も同じだ。穴はふさぐにこしたことはない。

そして、面倒くさがってすべて同じにしている各種パスワードを、各種パスワードマネジャーなどを使って突破されにくいものにすることだ。諜報機関も悪者のクラッカーたちも、使う手段は同じだ。一般的によいとされるセキュリティー対策を講じるだけで、事態はかなり変わる。

さて、これらは面倒だ。そんな面倒なことをみんながやるわけがない、と言う人も多いだろう。おっしゃるとおり。

でも……そもそもセキュリティーやプライバシーというのは、ある程度は面倒なものなのだ。家に鍵をかけるのは面倒くさい。暗証番号だのパスワードだのをきちんと設定するのは面倒にもかかわらず、それでも完璧ではない。

でも、みんなそれだけの手間はかける。鍵のかかっていない家に侵入しても、不法侵入にはなる。お金をあなたが道端にむき出しで放置しておいても、それを取った人は泥棒だ。それでも、人は家に鍵をかけ、お金は財布にしまう。

ある意味で、そういう規範や法律があるのは、多くの人が家に鍵をかけ、財布にお金をしまうという行動を通じ、財産保護を人々は望んでいるのだ、という意思表示をしているからだ。だからそれを社会として普遍化しようという動きが支持されたのだ。

重要なのは「全員が」やるかどうかではない

これはプライバシーやセキュリティーの話でも同じだ。「全員が」やるかどうかではない。重要なのは面倒でも「ある程度の人が」それをあえてやり、わざわざ対策を講じる、ということだ。

そもそもどこからともなく「人権」なるものが与えられていて、何もしなくても社会がコストを負担してそれを守ってくれる──本人がそれをまったく守ろうとせず、それを維持するために何ら負担をしなくてもかまわない──本当にそうなのか?

プライバシーを自ら守ろうとしない人、そのためのコストを払う気もない人──極端な話をすれば、ぼくはそういう人々のプライバシーは保護しなくていいとすら思う。これはほかの権利も同様だ。各種権利にあぐらをかき、それを守るためのコストを負担しようとしない人々──そういう人々の権利は、原理的に言えば守るに値しないとすら思う。ちなみに、これは懐かしき「自己責任」論の一部だ。

そのコストというのはプライバシーの場合、まずは(あくまで「まずは」で、これで十分なんかじゃありませんよ)なるべく多くの人が、上述したような設定変更やソフト導入を行うことだ。プライバシーを確保するために、多少の手間をかけ、面倒を引き受けることだ。

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