「先輩の聞き取りで、彼には同棲している彼女がいるけれどお互いに気持ちは離れていてシェアハウス状態になっていることがわかりました。きっかけがあれば引っ越すつもりもあることまで聞き出してくれたんです」
男女関係ではなくなっても同棲を続けているという男性は、女性からするといい意味で「くみしやすい」タイプだと思う。筆者の分析だが、女性とフランクに付き合えるタイプで、基本的にモテる、だから婚活市場には出てこないことが多い。由里さんはまさに「掘り出し物」を先輩から紹介してもらったのだ。
直樹さんはあるバンドのファンで、その年の秋にライブに行く予定があった。先輩はすかさず「由里さんも連れて行ってあげてくれない?」と提案。デートが実現した。由里さんはかつてない好印象を受けた。
「私が何を言っても受け止めてくれるんです。『僕はこう思うよ』と言いつつ、否定はしません。彼も私がふざけたりするのが面白かったようです」
先輩の手厚いフォローが続き、交際3カ月でプロポーズ
話し始めると年齢差は気にならなくなり、すぐに交際が始まった。先輩による手厚いフォローはその後も続く。直樹さんに対して、「由里さんと付き合うなら真剣に付き合ってあげてね」「(その後の進捗は)どうなの?」と折に触れて聞き続けてくれたのだ。その影響もあったのか、交際して3カ月後には直樹さんからプロポーズ。2018年の初めのことである。
由里さんと直樹さんには今のところ子どもがいない。不妊治療までは受けるつもりがないことは結婚前に同意を得たと由里さんは振り返る。
「結婚したときが37歳。すぐに妊娠したとしても高齢出産です。リスクもあります。子どもは作ってあげられないかも、とはっきり言いました。彼は『できたらできたでいいし、いなければいないでも構わない。無理をするつもりはない』とのこと。彼はお兄さんお姉さんにそれぞれ3人ずつぐらい子どもがいて、おいっ子めいっ子に囲まれているのでお役御免だと思っているようです」
今、由里さんは穏やかな直樹さんとの平和な毎日を過ごしている。家に帰ると夫がいることが「いいな」と感じるのだ。
「母との2人暮らしも楽しかったのですが、母は毒舌なのでグサッと胸に刺さるような言葉を言います。私のためだとはわかっているのですが……。夫はとにかくマイルドな人なので、今までケンカをしたことはありません。2人ともインドア派で、休日はそれぞれが違うゲームを部屋の中でしたり。結婚したからよかったのではなく、夫と結婚したからよかったと思っています」
結婚しなくても1人で生きられる時代である。「よりいい条件」だけで結婚相手を選ぶことの意味は薄れているとも言える。由里さんのように「人となり」を重視して、一緒にいて安らげるパートナーを探したいのであれば、身近にいる尊敬できる先輩などに相談することが早道かもしれない。類は友を呼ぶ。よき人を信じることによって、よき人を紹介してもらえることは少なくない。
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