大学院卒でも年収180万円からスタート。超シビアな“ハリウッド給料事情”《ハリウッド・フィルムスクール研修記8》
では、晴れてこのアシスタント職になったとして、給料はいくらもらえるのかといえば、「2万ドル(約180万円)」との答え。早ければ半年で昇進する人もいれば、4~5年このポジションのままという人もいます。すべては実力とボスとの相性次第。
そもそもクラスが月曜夜8時から10時という気乗りしないスケジュールで行われていることも相まって、この「年収2万ドル」という現実にはクラスからやり場のない怒りと落胆の声が漏れました。
AFI大学院(アメリカン・フィルム・インスティテュート/米国映画協会)の学生の平均年齢は20代後半。既婚者や子供がいる学生も少なくありません。しかも多くの学生はローンで年間約4万ドル(アメリカとしては平均的)の授業料を支払っています。
「年収2万ドルでは、生活するのに精いっぱいで授業料のローンがまったく返せない」という学生のコメントに対して、ピカラロ氏は「でも映画業界に残りたいなら選択肢はないんだ。私もアシスタント時代には節約方法をたくさん思いついたよ」とシニカルな笑みを浮かべます。
ゲストで来た卒業生からは、「借金のことを気にするようでは、プロデューサー失格! 返せなければ延滞すればいいだけのこと」という発言も。どこまでも前向きで楽観的なアメリカ人気質がうらやましい反面、「彼らはリーマンショックから何にも学んでいないんだなぁ」と苦笑してしまいます。
ちなみにピカラロ氏は言及しませんでしたが、他の講師たちが提示するもう一つの選択肢も隠されています。
それは「医者か弁護士と結婚すること」(笑)。そうアドバイスしてくれた女性プロデューサー自身はアマチュアバンドのドラマーと結婚したために、自分の映画を作れるようになるまでの数年間はペンキ塗り等の日雇いバイトで食いつないでいたそうです。
高給取りは、ほんの一握り
アシスタント職から昇進したからといって、突然羽振りが良くなるわけではありません。