FPは見た!「お金が全く管理できない人」の実態 趣味を優先、借金があるのに投資…

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Cさんから相談を受けた当時、彼はフリーランスにったばかりで忙しく、働けど稼げない、というフリーランスの罠にはまっていた。一方で妻は、忙しいことで有名な会社に勤務し、仕事、育児、家事と目の回る忙しさであった。

こうした状況が長く続いた結果、Cさんのメンタルが崩壊したようで、ストレス解消のため買い物で心の消耗を癒やしていき、気がつけば借金が数百万円に膨らんでいた。金融機関からのハガキで妻が気づいたときには後の祭り。Cさんに状況を問いただしても、「FPに相談してるから大丈夫! 文句あるのか?」とすごまれ、どんなアドバイスをしているのかと筆者に問い合わせが来たのだった。

実は一度債務整理をしていた

Cさんに妻からの問い合わせがあったことについて、相談内容の詳細は伏せつつ、やり取りを伝えると、筆者からのアドバイスを自分に都合よく解釈し、生活自体は何ら改善せず、むしろ支出が増えていることがわかった。聞けば、結婚前に一度債務整理をしているそうで、お金の管理が超苦手な人であることが判明した。

相談当時に家計簿をつけていたが、FPに対して家計簿の状況を説明することができず、お金の管理が苦手であることはわかっていた。しかし、間もなく人生2回目の債務整理に突入する寸前まで行くとは、思いもよらなかった。

世の中には、たくさんの家計簿が販売されている。一部の人は、家計簿をつけることで家計改善に進むのだろう。しかし、世の中には家計簿をつけても家計把握ができず、従って家計の管理もできない人がいる。客観的なアドバイスをするなら「家計簿をつけろ、以上」となるのだが、仕事としてお金の相談を受けていると、家計簿では超えられない資金管理のハードルが存在すると感じる。

おそらく、学校や職場での金銭教育以前に、お金の管理が致命的にできない人たちが、一定割合いるのだろう。自分や家族がそうであってもおかしくない。厄介なことに、お金の管理が上手かどうかは見た目にはわからない。話していても気づけない。家族や第三者が、おかしいと気がついたときには、預貯金がなくなっていたり、借金ができていたりする。

今後脳科学による研究が進めば、なぜお金を管理することができないかも明らかになるかもしれない。だが、運動や勉強に得手不得手があるように、お金の管理にも上手下手があるのだ。素養のある人を上手にするのは簡単だが、下手な人を上手にしようと変化を期待するのは難しい。

お金はただ貯めればいいというものではない。上手に使ってこそお金の存在意義があり、生き金となる。だが、簡単にできると思うほど、容易にはいかないのがお金の管理なのだろう。でなければ、毎年家計簿が売れ、新しい家計簿が開発されるわけがない。本当にお金が貯まる人には、家計簿など不要なのだから。

高橋 成壽 ファイナンシャルプランナー

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たかはし なるひさ / Naruhisa Takahashi

寿FPコンサルティング株式会社代表取締役。慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、金融系のキャリアを経てFPとして独立。お金を増やす、お金を守るという視点でFPサービスを提供。30代40代の財産形成、50代60代の資産運用、70代以降の相続対策まで幅広い世代に頼られている。「ライフプランの窓口」を企画運営。著者に『ダンナの遺産を子どもに相続させないで』(廣済堂出版)がある。日本FP協会認定CFP。

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