3メガ損保が直面する「脱石炭」の猛烈な風圧 世界の流れに乗り遅れ、ランキングで低評価

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日本の3メガ損保は、気候変動問題に真摯に取り組んでいると強調している。

東京海上は「保険・サービスのリスクソリューションの提供を通じて、『メガソーラー・パッケージ・プログラム』など再生可能エネルギーの支援や、マングローブ植林などを通じたカーボンニュートラルの取り組みを実施している」と説明する。

MS&ADは2018年度にスタートした中期経営計画の7つの重点方針の1つとして「気候変動の緩和と適応に貢献すること」を掲げ、気候災害の損害軽減や防止に取り組む考えを明らかにしている。

メガ3損保の保険引き受け姿勢に厳しい評価

SOMPOは「再エネ関連の保険引き受けや、G20の金融安定理事会(FSB)が設置した気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の最終報告書の内容を踏まえた情報開示の促進など、低炭素化に向けた活動をしている」と説明している。

こうした取り組みが勘案され、Unfriend Coalキャンペーンネットワークが作成した「その他気候関連リーダーシップ」では、一定の点数を獲得している。

しかし、石炭関連事業への保険引き受けに関しては、厳しい評価を受けている。各社は「Unfriend Coalの国内外のメンバーとは、日頃から緊密なコミュニケーションをとり、相互理解を図っている」(SOMPO)、「調査においては採点方法が事前に開示されてもおり、低い評価となることは予想できていた。そのうえで当社グループの取り組み方針について、Unfriend Coalとも対話を行ったうえで、回答している」(MS&AD)という。

だが、各社はなぜ石炭関連事業への引き受けを続けなければならないか、見直す必要があるか否かについて、公に説明していない。

2019年までに三菱UFJフィナンシャル・グループなど3メガ銀行は、石炭火力発電プロジェクトへの融資見直しの方針を開示した。その内容については不十分との評価があることも事実だが、それらと比べても大手損保の開示姿勢の遅れが目立つ。3メガ損保は業界内でのシェアが大きいこともあり、1社が脱石炭の方針を表明すると、業界全体が脱石炭に向かうきっかけになりかねない。ましてや日本政府がエネルギー政策において石炭火力発電維持の姿勢を堅持している中で、国策に反するスタンスは示しにくい。

とはいえ、損保の立場は厳しくなる一方だ。気候変動が原因と見られる大型の台風や集中豪雨などの自然災害の多発に伴い、損保各社の風水災等による保険金支払い額は近年、急増している。日本損害保険協会の調べによれば、2018年度の保険金支払い額は1兆5695億円と過去最大を記録。2019年度も大型台風の相次ぐ直撃により、1兆円を上回る規模に達するとみられる。2020年度中にも、そうした事態を踏まえて保険料の引き上げが見込まれている。

保険契約者の負担が増大するにつれて、温室効果ガスの大量排出源である石炭関連の情報開示や引き受け方針厳格化を求める風圧も、さらに強まりそうだ。

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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