井上尚弥を「無駄遣い」と無縁にした父の教え トップボクサーが語る「ファイトマネー」の話
初めてのバイト代をもらったときはうれしかった。そのバイト代を使って母にリクエストされていたスニーカーを買ってプレゼントした。8000円ほどだった。家族全員で焼肉に行き、ご馳走もした。
そういう経験があり、お金を稼ぐことの大変さを知っているからファイトマネーをドンともらっても金銭感覚が麻痺することはない。ごくたまに衝動買いはあるが、無駄遣いはほとんどせず経済観念はある。誰よりも、お金の価値はわかっている。だからこそ現状に満足せずに上を目指すのである。
軽量級ボクサーの固定観念を破壊したい
ボクシングの世界でビッグマネーを手にできるのは海外のリングだ。「WBSS」や「SUPERFLY」といったイベントが誕生してきたが、世界のボクシングビジネスの世界では、軽量級はまだ市民権を得るに至っていない。中量級、重量級とは人気もファイトマネーの桁も違う。
ミドル級の統一王者、サウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)は、有料のスポーツ通信メディアである「DAZN」と、5年11戦で総額3億6500万ドル(約390億円)のメガ契約を結んだ。
僕もWBSSで優勝できたら(編集部注:12月7日優勝)、世界的なプロモーターの1つであるトップランク社との契約交渉が本格化する予定で、今後の活動の幅が広がってくる。他競技のことはよく知らないが、世界で戦うプロアスリートの垂涎の年俸は、その選手のブランド価値となり、憧憬の念を持たれ、夢を語れる。
これまでの日本のボクシング界の常識の壁を超えていく金額を稼がねばならないが、現実問題として、カネロが結んだ単位での契約はバンタム級では難しいだろう。
しかし、世界で軽量級ボクサーに持たれている固定観念を破壊していかねば面白くない。スーパーバンタム級以上に階級を上げたとき、スポンサーフィーも含め、1試合の総収入の10億円超えは目標に掲げたい。
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