なぜ「ナポリタン」が愛され続けているのか 「昔ながらの」が似合う不思議なパスタ料理

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僕もパンチョのナポリタンを初めて食べたときは衝撃が走った。モチモチした食感の太麺、たっぷり炒められた麺や具材、そしてたっぷりのケチャップ味。これこそ自分が求めていた理想のナポリタンだと思ったものだ。

小盛300グラムから大盛600グラムまで同一料金。さらに大食いの人たち用に2.3キロの「ナポリタン星人」なる裏メニューもあり、多くのファンを獲得した。

今も進化を続けるナポリタン

最近のロメスパ系ナポリタンの流行は、麺を焦がしめにすること。注文の際に「焦がしめ」というオーダーをするお客さんも少なくない。焦げが香ばしさを生み出し、その分ケチャップ味は濃くないので、けっこうな量を食べられる。

(左)「大宮ナポリタン」の中でも有名なのが24時間営業の喫茶店「伯爵邸」のナポリタン、(右)刻み玉ねぎのせが条件の八王子「はちナポ」の人気店「キッチンロッコ」のナポリタン(筆者撮影)

さらに近年では、鉄道の街・埼玉県大宮で働く鉄道員が愛したナポリタンをご当地グルメ化した「大宮ナポリタン」(32店舗が加盟)や、たっぷりの刻み玉ねぎのせが条件の八王子「はちナポ」(26店舗が加盟)なども盛り上がりを見せている。

入谷の喫茶店「SUN」では、ナポリタン注文時に「ニンニクのせますか?」と聞かれる(筆者撮影)

僕が好きな台東区入谷の「SUN」という喫茶店のナポリタンは、刻みにんにくのせや、和風だしの溶き卵をつけて食べる「つけナポ」なんかもある。

もはや郷愁だけのものではなく、進化を続け、多様なファンに支えられているのが現在のナポリタンなのだ。

『ぶらナポ 究極のナポリタンを求めて』には、ナポリタンの歴史のほか、僕がこれまで食べ歩いた数多くのお店やコンビニのナポリタン、家庭で劇的においしく作るための“ひと工夫”などを紹介している。あなたの身近にあるナポリタンに目を向けるきっかけになってくれたら幸いだ。

下関 マグロ 食べ歩き評論家

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しものせき まぐろ / Maguro Shimonoseki

1958年、山口県下関市生まれ。出版社勤務を経てフリーライターに。WEBサイト『メシ通』にて「料理人のまかないメシ」などを連載中。町中華探検隊副隊長としてCSテレ朝チャンネル『ぶらぶら町中華』にレギュラー出演中。著書に『ぶらナポ 究極のナポリタンを求めて』(駒草出版)、北尾トロ・竜超と共著で『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(角川文庫)など。

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