グレタさんで注目、「飛び恥」が鉄道に追い風 夜行列車復活に補助金、欧州各国の危機感

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KLMオランダ航空は、不必要に航空機を飛ばすことは環境悪化につながるとして、区間が重複するアムステルダム―ブリュッセル間の路線を順次、高速列車タリスへ置き換えていくと発表している。

厳しい立場に置かれた航空各社だが、KLMオランダ航空は環境に配慮し、短距離区間は鉄道へのシフトを進める計画だ(筆者撮影)

すでに同様のサービスを行っているルフトハンザやエールフランスも含め、こうした流れが今後ますます加速していくことが予想される。

環境問題は、この先何十年、何百年先のことを考えれば、決して目を背けてはいけない問題だが、まずは可能なところから進めていこう、というのが今のヨーロッパにおける流れだ。

危機感が違う日本と欧州

ひるがえって日本を見てみると、環境のことを考えて公共交通機関を選んでいる人はほぼ皆無ではないだろうか。中には「これまでさんざん環境破壊をしてきて、今さら大騒ぎをするのはおかしい」など、ヨーロッパにおける一連の動きに対して、むしろ否定的な声が多く聞こえてくる。

頂上付近以外、ほとんど見えなくなってしまったスイスのパリュ氷河。10年ほど前と比較しても明らかに後退した(筆者撮影)

一個人にとって、目に見えず現実味の薄い環境問題よりも、自分たちが今利用しやすい交通機関を使うだけというのが、今の日本人の一般的な考え方なのだろう。また、仮に自分1人が本来利用するつもりの航空機や自動車などを利用しなかったところですぐに環境問題が改善されるはずもなく、それならどうして自分1人だけが損をしなければいけないのか、というさめた考えも根底にありそうだ。

何より、ビジネスにおいては業務効率と生産性こそが最優先され、環境について考えるのは二の次となる。

だが、例えばかつてその場所にあったはずの氷河がすっかり無くなっているスイスや、高潮で水没する回数が年々増加し、先日は死者まで発生したベネチアなど、ヨーロッパの人々は地球温暖化による脅威を実際に目の当たりにしている。16歳の少女に言われるまでもなく、十分現状に危機感を抱いている、と言えるのかもしれない。

橋爪 智之 欧州鉄道フォトライター

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はしづめ ともゆき / Tomoyuki Hashizume

1973年東京都生まれ。日本旅行作家協会 (JTWO)会員。主な寄稿先はダイヤモンド・ビッグ社、鉄道ジャーナル社(連載中)など。現在はチェコ共和国プラハ在住。

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