グレタさんで注目、「飛び恥」が鉄道に追い風 夜行列車復活に補助金、欧州各国の危機感

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ただ、こうした行動は1人ひとりが無理のない範囲でできるものでなければ、決して長続きしないだろう。

今年9月21日付の記事(「欧州で伸びる鉄道利用、理由は『飛ぶのは恥』」)において、北欧を中心に航空機の利用客が徐々に鉄道へシフトしていることをお伝えしたが、その中で紹介した、スウェーデンのビジネスマンが出張のためロンドンまで24時間以上かけて鉄道で移動したという話はかなり極端な例だ。

トレニタリア(イタリア鉄道)のチケットは、鉄道がほかの交通機関と比較してどれだけ環境に優しいかを示す広告を掲載している(筆者撮影)

環境のためと言えば立派な話ではあるが、効率や生産性を考えれば意味のある行動とは言いがたい。この場合、鉄道と航空機のどちらがより現実的な選択肢であるかは明白だ。

近年業績を伸ばしてきたLCC(格安航空会社)も、航空業界への逆風によってさぞや青息吐息かと思えば、その多くは過去数年間、搭乗者数が前年を下回った年はない。最大手のライアンエアーやイージージェットなどは、航空業界への風当たりなどどこ吹く風だ。

航空とはすみ分けが重要

LCCの場合、もともとフラッグキャリアが飛ばさないような地方都市間などが主戦場で、そういう都市間は高速列車など鉄道の脅威が薄いようなところが多い。もちろん、鉄道では歯が立たないような中距離路線も、彼らにとっては重要な収入源である。

ウィーン―ミュンヘン間465kmを4時間で結ぶオーストリア鉄道の「レイルジェット」。空港までのアクセスを考慮すると所要時間で航空と十分勝負できる(筆者撮影)

オーストリア鉄道CEOのアンドレアス・マッテ氏は、会見の中で「ある程度の長距離路線における航空機の優位性は変わらない。私はウィーンからミュンヘンやインスブルックへ向かうとき列車を使うが、(アイルランドの)ダブリンへ行くのには飛行機を使う」と述べており、両者はすみ分けてきちんと共存すべきとの姿勢を示している。

スカンジナビア航空のように、環境問題を航空業界に結び付け、悪者のような扱いを受けることに不快感を示す航空会社もある。だがヨーロッパの多くの航空会社は、今後の航空業界のあり方について、この先どう進んでいくべきかを真剣に考えている。

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