転職に失敗する人の7割に共通する意外な特徴 高齢者の後悔で最も多いのはキャリア選択だ
ハーバードビジネススクールの研究チームは、ほかにも視野狭窄の定番パターンを3つ挙げています。
給料アップにひかれて転職を決めて、それだけしか考えられなくなるケース。収入が増えたのはいいが、前職で培ったコネを失うパターンがよく見られる。
現在の仕事に不満が募り、「将来のために」ではなく逃避で職を転々とするケース。今の会社を改善する可能性には思いが至らないため、最終的に収入も下がることが多くなる。
自己評価がやたらと高いせいで「私はどのような会社でもやっていける」や「今の会社には問題がある」などと断定してしまい、実は自分のほうに問題がある可能性や現状のありがたみに思いが至らないケース。または、逆に自信がなさすぎるせいで、「あんな会社は自分に向かない」と決めつけて、よりよい可能性から自らを遠ざけるケースも定番。
黒か白かの二択になっている
いずれのパターンにせよ、仕事探しの一部のポイントにしか目が向かず、さまざまな選択肢が頭から抜け落ちています。脳内が黒か白かの二択だけになり、もっといい可能性を考えられない状態です。
視野狭窄のせいで選択を間違える現象はあらゆるシチュエーションに存在し、この問題は、どれだけ頭がいい人でも避けられません。
オハイオ州立大学が一流企業で働くCEOやCOOを調べた研究では、彼らが行ったさまざまな選択を168件ほど集め、「新たなビジネスモデルを採用すべきかどうか?」や「他の企業から優秀な人材を引き抜くか?」といった意思決定が成功に終わったかどうかをチェックしました。
その結果は驚くべきものでした。意思決定の際に3つ以上の選択肢を吟味したビジネスパーソンは29%だけで、大抵は「優秀な人材を引き抜くか引き抜かないか」や「新たなデザインを採用するか採用しないか」といった二択でしか物事を考えていなかったのです。
当然、そんな雑な選択がうまくいくはずもありません。データによれば、二択だけで意思決定をした場合の失敗率は52%なのに対し、3つ以上の選択肢を用意した場合の失敗率は32%まで下がっています。これらの調査から私たちが得られる教訓は、とてもシンプルです。
私たちは、仕事選びについてもっと徹底的に考え抜くべきである
なんとも平凡な結論のようですが、すでに見たとおり、多くの人は職業選択の場面ですら驚くほど視野が狭くなります。逆に言えば、これから本書がお伝えしていく“科学的に正しい仕事選びの考え方”を実践さえすれば、「キャリア選択の失敗」の確率は確実に減らせるといえるでしょう。
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