北朝鮮、突然の「重大な実験」が意味すること 見えないアメリカとの交渉の行方

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「ただし、北朝鮮がそのように考えているかはわからない」とロエイリグ氏は付け加える。「もし経済状況が切迫した状態なら、これに賭けるしかないと考えている可能性もある」。

だが、アメリカのインテリジェンス・コミュニティのベテランの北朝鮮専門家の中には、昨年の夏、北朝鮮指導部がトランプ大統領から望みどおりの成果が得られる見込みはほぼないと判断し、交渉を断念したとの見方もある。彼らは、主に政権側が公開した声明の中に、重大な戦略転換の痕跡があると指摘している。

ハノイサミット後に事態が変わった

2018年初め、北朝鮮政権による“平和攻勢”が始まったとき、金委員長は北朝鮮が経済成長と軍事力の強化という2つの目標を並行して追求する並進路線から離れつつあり、より開放的で市場主導型の経済への資源と焦点をシフトすると表明した。

2018年にシンガポールで行われた米朝首脳会談では、はっきりとトランプ大統領が主張していたこの見解に信憑性を加えたように見えた。しかし、2019年2月に行われたハノイ・サミットが失敗に終わった後、事態は変わった。ここで北朝鮮は、核施設の一部を閉鎖するための曖昧かつ限定的な措置と引き換えに、主要な経済制裁すべての解除を求めていた。

金委員長は、アメリカとの交渉期限を設定した4月12日の演説の中で、 「宮廷経済」 と 「核防衛」 という目標を再確認。夏の終わりまでに、北朝鮮政権は防衛産業の優位性を再び主張した。

そして、潜水艦発射弾道ミサイルなどのミサイルシステム実験が頻繁に行われるようになった。同時に北朝鮮政権は、革新的な韓国の文在寅政権に対し、アメリカとの小規模な合同軍事演習の中止と米韓同盟の破棄を要求し、圧力を強めた。

夏のどこかで交渉を事実上打ち切る決定が下されたようだ、と長年アメリカの上級情報アナリストを務めた人物は考えている。金委員長は6月、板門店の非武装地帯で急遽行ったトランプ大統領との会談の後、実務協議を行うことで合意した。

その実務協議は10月初めにストックホルムでようやく開催されたが、協議が行われたのはわずか1日だけで、北朝鮮はその日の終わりにアメリカが「古い態度と考え方」から抜け出せなかった、と非難する長文の声明を発表している。

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