北朝鮮、突然の「重大な実験」が意味すること 見えないアメリカとの交渉の行方
北朝鮮側のレトリックの変化は顕著である。外務省幹部や軍の高官が次々と発表する声明で年末の期限を繰り返し伝え、アメリカからのコメントに異例の速さで応じている。
例えば、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議でドナルド・トランプ大統領が軽く発言したことに対して、北朝鮮の朴正天(パク・ジョンチョン)総参謀長は、トランプ大統領に「意気揚々とはったりを言う」ことが戦争につながると警告。12月4日に発表した声明の中で朴総参謀長は「武力行使はアメリカだけの特権ではない」と述べた。
こうした中、多くの国際アナリストはこうしたレトリックや初期の実験を、北朝鮮がアメリカを再び交渉のテーブルに着かせるためのいつもの戦略と見ている。つまり、北朝鮮は昨年から求めてきた、核武装能力放棄のための限定的な措置と引き換えに、経済制裁を解除する協定をまだ結びたいと考えているというのだ。
「北朝鮮の目的は変わっておらず、アメリカが交渉のテーブルに戻ることを望んでいる」と、ソウルに拠点を置くロシア人学者アンドレイ・ランコフ氏は、NK Newsにこう寄稿した。
「何よりも制裁緩和に関して、北朝鮮の利益になる協定をまだ必要としている。しかし、求めているものが手に入るほど甘いアメを見つけることができなかったので、当面はムチにしがみつくだろう」
北朝鮮には、大きなリスクを抱えずに緊張を高めることができると信じるだけの理由がある。国務省東アジア・太平洋局の元局長エヴァンズ・リヴィア氏は、「北朝鮮は、アメリカと韓国が弾道ミサイル実験など最近の行動に反応しないのを受け、北朝鮮が米韓の許容範囲を超え、アメリカのレッドラインにまで足を踏み入れる余地があると確信しているようだ」と話す。
「彼らは正しいかもしれない。なぜなら米韓政府はどちらも次の大統領選挙を控えており、今は対立を避けたいと考えているからだ」
確固たる実験計画の再開は、過去1年半の間に緩和された制裁体制を再び活性化させるおそれがある。アメリカ海軍大学の専門家テレンス・ロエイリグ氏は、「現時点では『最大限の圧力』をもう一度かけるのは難しいが、長距離ミサイル実験によって復活する可能性がある。とくに、すでに長距離ミサイルを発射する能力を持つ北朝鮮には利益にならない」と語る。
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