ニューエリートが自分の資産価値を隠す理由 「7つの階級」調査でわかった「後ろめたさ」
現代エリートの社会学
21世紀に入り、超富裕層への関心が高まっている。大企業のトップの報酬や投資家らの所得がふくれ上がっていることへの批判が高まり、富の不均衡を是正するために世界各国で富裕税を導入することを提案したトマ・ピケティの『21世紀の資本』(みすず書房、2014年)は世界的な大ベストセラーとなっている。このことは、エリート層の社会学的な分析を不可欠なものにしている。
しかし、この新しい富裕なエリート層を、20世紀後半までイギリスで権勢を振るっていた、土地に根ざした紳士的な階級――貴族への回帰だとする見方には注意しなければならない。
こんにちの富裕なエリートを社会学的に理解するためには、貴族的な上流階級や「エスタブリッシュメント」の概念から離れなければならないと、私たちは考えている。このアプローチはまた、「ワーキング・リッチ(働き者の高給とり)」や出世した「精力的(ダイナミック)」なビジネス・エリートなどの、優れた成功者という過度に単純化したメディアのステレオタイプに異議を唱えることも含んでいる。
裕福な階級に至る道は公平な競争とは程遠く、資本の拡大により不公平は拡大していくのだ。
こうした成功者の来歴は、テレビのバラエティ番組で大袈裟に喧伝されているが、それはイギリス社会の頂点に至る道の社会的不平等を正確に反映していない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら