ニューエリートが自分の資産価値を隠す理由

「7つの階級」調査でわかった「後ろめたさ」

英国階級調査参加者の偏りは、このような捉えがたい自信を持つエリート層の存在を明らかにした。彼らは、かつての貴族のような公認という形で「エリートであること」を公に主張したくはないとは思っているが、自分の地位に安心感を与えた科学的な言説を通じて、エリート自身の役割を形作りたいと思っている。

このことは、ほかの社会階級とはどれほど違いがあるかを承知している新しいエリート階級を言い表している。彼らはあからさまに「スノッブ」な態度をとったり、「エリートであること」を公に表明することを避けようとするが、それでもなお、エリート自体の重要性は認識している。

自分はそれほど裕福ではないと強調する

エリートに分類された人たちへのインタビューでわかったのは、彼らが経済的優位性に対して複雑な気がとがめるような感情を持っていることだ。金銭についての会話はしばしば過敏なものとなった。

いくら稼いでいるかとか、住宅や資産の価値について質問すると、事もなげに、ただ数字で答えてくれる人はほとんどいなかった。それどころか、彼らは自分たちの豊かさについて釈明し、正当化したがっていた。それには能力主義的な正当化が根強いものとなっていた。

多くの人がやや自己弁護的に、資産を所有しているのは大変な努力と大きな成果によるのだと強調した。「当然の褒美」なのだと。

他人と比較して、自分の豊かさは大したことはないと言う人もいた。所得や資産についての質問をはぐらかし、しきりに自分よりもっと裕福な友人の話を始めた。

「自分が裕福だなんて思ってないわ。だって、知り合いの法律事務所のパートナー弁護士とか、銀行家とか、みんなロンドン都心でずっと大きい家に住んでるもの。もっと裕福な人はたくさんいるのよ」――。

一般的に、自分より裕福な知人を引き合いに出したがる傾向がある。

現代のエリート階級の構成は、伝統的な上流階級のそれとは違う。分化していて異質のものから成っていると言える。1つの定義に収めることはできないが、例えるとすれば、星座のように、それぞれは独立しながら相互に関係を持って連なっている。文化的な興味も多様で、ただ高尚な文化の規範を守っているだけではない。

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