日本郵政の先祖返り、旧大蔵官僚が牛耳る財務省の機関化へ
21日の午前10時ごろ、前日に発表された西川善文社長辞任の喧騒が冷めやらぬ日本郵政本社の一室で、管理職らが会議を開いていた。
そこへ突然、舞い込んだ「次期社長は元大蔵事務次官で東京金融取引所社長の齋藤次郎氏が決定」のニュース。
「みんな、驚愕し、あぜんとした」
会議出席メンバーの一人は、一報の瞬間をこう振り返る。室内は凍りついたような雰囲気になったという。あまりにも意外な人事だったからだ。しかし、決定権者である亀井静香郵政担当大臣の最近の発言には「独立行政法人にふさわしい人が必要」「官僚出身者も排除しない」など、伏線のようなものがあった。
それでも、大蔵省(現・財務省)出身の社長就任は、誰も夢想だにしなかったはずだ。
閣議決定という“花道”
鳩山新政権は20日、「郵政改革の基本方針」を閣議決定した。その内容は「郵便局ネットワークを、地域や生活弱者の権利を保障し格差を是正するための拠点として位置づける。地域のワンストップ行政の拠点としても活用」「(ゆうちょ銀行、かんぽ生命について)銀行法、保険業法に代わる新たな規制を検討」など。 今臨時国会に提出する民営化凍結法をはるかに飛び越えており、従来の政策から180度転換。日本郵政を著しく公的な色合いが強い組織へ塗り替えることを示唆した。