日本郵政の先祖返り、旧大蔵官僚が牛耳る財務省の機関化へ

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 誰よりも先行きを不安視するのは日本郵政グループの社員だろう。「郵政改革の基本方針」の内容を見て、「いったい、われわれに何になれというのか」と考え込む社員は少なくない。「全国のワンストップ行政の拠点となれば、コストは膨張する。経営は悪化するが、そうなると、政府が補助金拠出となるのではないか」と、特殊法人化する今後を展望する幹部もいる。

やや穿った見方だが、郵政問題と同時並行的に進む日本航空への公的資金拠出問題(拠出機関は日本政策投資銀行)を重ね合わせると、小泉改革で消滅した財政投融資制度の入り口と出口が復活する兆しのようにも見て取れる。

要するに、極めて短期間での先祖返り。ならば財務省出身者が日本郵政の経営陣を占めることも理解しやすい。が、とにかく今は先行き不透明だ。グループ総資産で300兆円を誇る巨艦。日本郵政はどこへ行くのか。

(浪川 攻 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)

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