日本郵政の先祖返り、旧大蔵官僚が牛耳る財務省の機関化へ

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 実は、この内容は昨年12月、民主党、国民新党による郵政問題の研究会がまとめた内容とほぼ同じ。その意味では、ここに来てゼロから議論したものではない。

改めて今回、閣議決定したのは、鳩山首相や亀井担当相が促しても、西川社長がなかなか辞意を表明しなかったからだろう。プライドが高く、負けん気も人一倍強い西川氏にすれば、漠然とした理由で辞任するわけにはいかなかったことは容易に想像がつく。

決定を受けて西川氏は同日、「政府と自分がやろうと考えたことに隔たりがある」として辞任を表明。28日の取締役会で正式に辞任する。つまり閣議決定が同氏の“花道”となった。そして同じ道を逆にやってくるのが、小沢一郎民主党幹事長と現役大蔵官僚のときから親密であることで知られる齋藤次郎氏(73)というわけだ。 

問題は民間出身者は下り、官僚経験者が上ってくる日本郵政の今後だ。政府の「基本方針」もいわば、日本郵政に民間企業の道を捨て「公的機関」に回帰せよ、というもの。新たに大物大蔵官僚OBの坂篤郎・前内閣官房副長官補が副社長に就任した。このままいけば、あたかも財務省の関係機関のようになる。

マニフェストと不一致?

しかも齋藤氏起用は、民主党がマニフェストに掲げた「天下りの禁止」との整合性が取りざたされてもおかしくない人事でもある。その点については亀井担当相、平野博文官房長官が「問題なし」と明言。齋藤氏本人も会見で「十数年間、民間にいたので、天下りとは思わない」と話したが、世論はどう反応するのか。

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