ホンダ「3代目インサイト」発売1年後の通信簿

月販1000台をクリアできない本質的な理由

インサイトの後席に座ると、後ろのタイヤが発する騒音がほとんどじかに耳に届き、前席とは比べ物にならないほど居心地が悪い。

「EX・BLACK STYLE」のインテリア(写真:ホンダ)

なぜそうなるのかと荷室のトランクリッドを開けてリアウインドウ付近を裏からのぞき込むと、そこに防音対策が施されておらず、車体の鉄板がむき出だった。これでは、後輪で発生した騒音はそのまま客室へ伝わってくるはずである。この車体構造は、クラリティのFCVやPHEVでも同様で、後席に座ると騒音が激しい。

4ドアセダンは高級車の基本形でもあるように、後席の快適性が重視される車種である。そのうえで、ステーションワゴンやSUVなどに比べ重心が低いため、走行安定性に優れ、運転を楽しむこともでき、それなりの荷物も載せられる総合性能の高いボディー形状だ。

総合力が問われる4ドアセダンにおいて、肝心の後席の快適性が不十分であれば、その存在意義をほぼ失う。

歴代オーナーを見捨てるのか

3代目のインサイト開発に際し、「クルマの本質を追求した」とホンダは言うが、その本質的価値に致命的な見落としがある。そこに気づかないホンダは、どのような車両開発を行っているのだろうか。商品価値の見劣りを理解せず、4ドアセダン市場が縮小しているとしか販売不振を分析できないことに驚きを禁じえない。

本質的な商品性の問題のほかにさらに言えるのは、環境意識が高くハイブリッド車に期待を寄せ、ホンダの独創的な技術開発に共感して歴代インサイトを購入してきた人たちを見捨てたことだ。

燃費性能で世界一を狙い2人乗りとした初代はともかく、拡販を目指しより多くの消費者に販売した2代目インサイトを愛用してきた人たちは、2代目インサイトが発売された2009年から10年を経たいま、何に乗り換えたらいいのだろう。

ハイブリッド車ならフィットがある。だが、ファストバックスタイルで荷室もある程度確保された2代目インサイトと、ハッチバックで全長が40cmほど短いフィットでは、外観も荷室の使い勝手も異なる。となると、トヨタのプリウスへ乗り換えるしかないではないか。また新型フィットは、部品供給の問題により発売時期が遅れ、乗り換え時期を失わせてもいる。

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