ホンダ「3代目インサイト」発売1年後の通信簿

月販1000台をクリアできない本質的な理由

プリウスの3代目は2009年に登場しているが、ここでエコカー補助金制度が追い風となり、ハイブリッド車ブームともいえる販売増が起こった。

ホンダも、同2009年に2代目のインサイトを発売している。初代で燃費世界一を目指したのに対し、2代目インサイトはプリウスより燃費性能で劣ったが、販売価格では税込み189万円からとプリウスを下回る設定とし、拡販を求めた。

ライバル「プリウス」に真っ向勝負を挑んだ2代目「インサイト」(写真:ホンダ)

しかしながら、燃費性能だけでなく車両全般の商品性で2代目インサイトはプリウスに劣っていた。外観はプリウスに似た姿で独自性が薄れ、前方視界がプリウスより悪く、後席は座ると髪が天井に触れる窮屈さ。3代目プリウスと競合する時代であったが、2代目プリウスと比べても見劣りする印象が否めなかった。

それでも、ホンダ車愛好家はようやく家族や仲間と一緒に乗れるハイブリッド車が登場したことで買い求めた。ただしそれが行き渡ると、販売台数は落ちていき、2014年に生産と販売を終えた。

セダンとしての作り込みも不十分

4年の空白期間を経た3代目インサイトの誕生に際し、ホンダは「4ドアセダンとすることによりクルマの本質を追求した」と説明した。だが初代にしても2代目にしても、ホンダ車を愛好する人々がインサイトを所有したあと、次に乗り換えるべきクルマをなくす価値観の変更があった。また、2代目までの5ナンバー車から3代目では3ナンバー車へ車体寸法の拡大も行った。

さらに、4ドアセダンとしての作り込みにも不十分な点がある。

先に発売されていた「クラリティ FUEL CELL」や「クラリティ PHEV」も同様だが、モーター駆動を活用する燃料電池車(FCV)や、プラグインハイブリッド車(PHEV)、そしてハイブリッド車(HV)は、いずれもエンジン車に比べ室内の静粛性に優れるはずだ。

なおかつミニバンやSUV、そしてハッチバック車とは違い荷室と客室とが分離される4ドアセダンは、後輪からの騒音が直接客室へ伝わりにくいため、この点でも静粛性に勝るはずである。

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