ホンダ「3代目インサイト」発売1年後の通信簿

月販1000台をクリアできない本質的な理由

前任者を全否定するといった言葉を耳にすることがある。言葉通り、2代目インサイトは2代目と価値観を変えてきた。そして、ボディ形状の転換、車体の拡大や価格帯の変更(約100万円増)は、ホンダ車を愛好してきた人々をほかの自動車メーカーへ鞍替えさせる動機をもたらすだろう。

現行の3代目インサイトを購入した人が、次にほかのメーカーへ変えるしか選択肢がなくなる可能性も、過去のホンダが示している。

自己満足で終わってはならない

なぜ、顧客の気持ちを理解できないのだろう。とはいえ、一方で軽自動車の「N‐BOX」は初代から乗り継げるモデルチェンジを実行し、軽自動車販売ナンバーワンを維持している。ホンダの新車開発における顧客意識が統一されているとは言えず、それでホンダブランドに対する消費者の信頼は得られるのだろうか。

創業者の故・本田宗一郎。1971年、鈴鹿製作所の2輪車生産累計1000万台達成時(写真:ホンダ)

ホンダの創業者、故・本田宗一郎は、「買って喜び、売って喜び、作って喜ぶ」とした3つの喜びが重要であることを唱え、中でも消費者の喜びを優先する順番で語ることを求めた。クルマ作りをする側がいくら理想を追求しても、自己満足で終わってはならないことを言ったものである。

創業から70年を超える今日、市場の変化はあっても、消費者に喜んでもらい、新車販売をする人たちにも喜んでもらえることが、クルマ作りを行うホンダにとって何よりの喜びであるという本田宗一郎の唱えた本質は変わらないのではないだろうか。

インサイトの販売動向は、単に1台の車種の成績にとどまらず、自動車メーカーのあるべき姿を問う「他山の石」とすべき事例かもしれない。

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