イオン、英社提携でネットスーパー浮上なるか 2023年に専用倉庫を設立、AIで物流最適化も

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日本の社会環境はいま大きく変化している。人口減や高齢化だけでなく、共働き世代や単身世帯が増え、食品スーパー全般が顧客の仕事と家事の両立という悩みに対峙していなかければならない。この悩みに対応できなければ、食品スーパー業界で生き残れない。

イオンはグループ全体で2万1000店舗、1億人の顧客基盤を持つが、今後はオカドのノウハウを取り入れてデジタルを強化し、リアル店舗とネットを融合したサービスを打ち出していく。

商品は「倉庫出荷体制」に切り替え

オカドは2000年に創業し、2018年度の売上高は2200億円を超える。1週間に平均約30万件の注文を受け付け、自動箱詰めロボットを配置した中央集約型倉庫から、注文を受け付けて15分で発送する。AIを駆使した最適な宅配ルートを導き出し、短時間配送も可能にしている。

イオンの吉田昭夫副社長はこの配送システムを体感するために、今年夏にロンドンを訪問し、半日間、宅配車に乗ってオカドの運営状況を確かめたという。

イオンのネットスーパー事業は、店舗で商品を詰め込んで配送する「店舗ピッキング型」を採用していたが、今回の提携により倉庫から出荷する体制に切り替える。2023年までに日本で中央集約型倉庫を設立。この大型倉庫を徐々に増やしていき、その周辺に複数のハブ拠点を設けて、各エリアへの配送網を広げていく考えだ。

「物流はラストワンマイル(最終拠点から顧客への配送)のところまで自社で担う計画」と吉田副社長が言うように、自社物流で配送を全面的に担うことも視野に入れる。

ネットスーパーのアプリケーションも操作しやすい、直感的なものに刷新。顧客の嗜好に合わせて商品提案などができるようにする。

イオンはこれまで、子会社イオンリテールが運営する400店舗のうち200店でネットスーパーを手がけてきた。この従来の店舗ピッキング型のシステムも継続させていく方針だ。ネットで注文し、店舗で商品を受け取るC&C(クリックアンドコレクト)サービスの展開も見据える。

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